「膨らむ医療費にメス 政府がジェネリック医薬品の本格普及へ数値目標を設定」「家計負担軽減へ切り札 政府が後発医薬品普及を加速」

2006年7月27日の報道概要

 政府は27日、医療費の伸びを抑えるため、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及促進に向けた具体的な行動計画をまとめた。欧米に比べて低水準にとどまる後発医薬品の使用割合を引き上げることで、増え続ける社会保障費の抑制と患者負担の軽減を図る。

計画では、国が普及目標を示すとともに、医療機関や薬局への働きかけを強化し、後発医薬品の使用拡大を進める方針。品質や安全性に対する理解を深めるため、医療関係者や患者への情報提供・啓発にも取り組む。

後発医薬品は、先発医薬品と同等の有効成分を用いながら価格を抑えられることから、医療費適正化の切り札として期待されている。一方で、品質や効果に対する不安から普及は十分に進んでおらず、政府は関係者の意識改革を含めた取り組みを加速させる考えだ。

2006年7月当時の背景

2000年代半ば、日本では高齢化の進展に伴い社会保障費が毎年約1兆円規模で増加し、医療保険財政の悪化が大きな課題となっていました。こうした中、政府は医療費抑制策の一つとして、先発医薬品と同等の有効成分を持ちながら価格の安い後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及に力を入れ始めました。

しかし、2005年度時点の国内の後発医薬品使用割合は数量ベースで約17%にとどまり、米国の約60%、ドイツや英国の50%前後と比べて大きく立ち遅れていました。医療現場では「品質や効果が先発品より劣るのではないか」といった不安や、医師・患者ともに先発医薬品への信頼感が根強く、普及の妨げとなっていました。一方で、後発医薬品への切り替えが進めば年間数千億円規模の医療費削減効果が期待できるとの試算もあり、政府は数値目標の設定や医療機関への働きかけ、国民への啓発活動を通じて普及を後押しする方針を打ち出しました。

2026年現在の状況

ジェネリック医薬品は、2006年当時には数量ベースで約17%だった使用割合が、その後の診療報酬改定や調剤薬局での積極的な切り替え、2024年10月に導入された長期収載品の選定療養制度などの後押しを受け、2025年9月の薬価調査では88.8%まで上昇しました。当初掲げられた「80%以上」の目標も達成され、現在は2029年度末までに全都道府県で80%以上を維持することに加え、金額シェア65%以上など新たな目標が設定されています。

一方で、普及が進んだことで新たな課題も浮上しました。2021年の品質不正問題を契機に複数メーカーが出荷停止となり、多くの後発医薬品で供給不足が発生しました。現在も安定供給の確保が重要課題となっており、政府はメーカーの生産体制強化や業界再編を進めています。かつては「普及」が最大の課題でしたが、現在は「安定して供給できる体制をどう維持するか」が政策の中心へと移っています。

ジェネリック普及でも増大する医療費

ジェネリック医薬品の普及は、薬価の引き下げによる医療費抑制という点では大きな成果を上げました。しかし、日本の医療費全体は増加を続けており、根本的な解決には至っていません。背景には、高齢化による患者数の増加や、医療技術の進歩による高額な新薬・治療法の普及などがあり、医薬品1つ当たりの価格が下がっても、使用量そのものが増えれば医療費は膨らみ続けます。

つまり、ジェネリックの普及は「単価」を下げる政策としては成功した一方、「総額」を抑えるには限界がありました。医療費の持続可能性を確保するには、薬価の見直しだけでなく、生活習慣病の予防や健康寿命の延伸、適正受診の推進など、医療需要そのものを抑える取り組みも欠かせない課題となっています。

10年後の未来

医療費抑制に向け、日本はこれまでも保険料や自己負担割合の見直し、診療報酬改定、医薬分業、ジェネリック医薬品の普及など、さまざまな制度改革を積み重ねてきました。今後もAIの活用やオンライン診療、予防医療の推進、適正受診の促進など、新たな取り組みが続けられるでしょう。

しかし、その一方で高齢化という大きな波は今後もしばらく続き、医療需要そのものは増え続けると見込まれます。制度改正によって医療費の伸びを緩やかにすることはできても、高齢化の影響を完全に打ち消すことは容易ではありません。

これまで日本は、高齢化という波に対して制度を積み重ねることで対応してきました。しかし、制度が高齢化に追いつけなくなる日がいつか、訪れることになるのでしょうか。