「第5世代移動通信システム(5G) 超高速・大容量がもたらす未来」「2020年の商用化へ向け、総務省が描く次世代モバイルネットワークのロードマップ」
2016年8月3日の報道概要
総務省は3日、第5世代(5G)移動通信システムの実現に向け、周波数割り当ての方針案をまとめた。通信事業者による実証実験を本格化させ、2020年ごろの実用化を目指す。
5Gは、現在普及している第4世代(4G)を上回る高速・大容量通信に加え、通信の遅延を大幅に抑えられることが特徴。自動運転や遠隔医療、あらゆる機器をインターネットにつなぐIoT(モノのインターネット)など、新たな産業やサービスを支える通信基盤として期待されている。
総務省は今後、通信各社と連携して実証実験を進めるとともに、周波数の割り当てに向けた制度整備を進める方針だ。限られた電波資源を巡っては、各社が技術開発や設備投資を加速させており、次世代通信市場を見据えた競争が本格化しそうだ。
2016年8月当時の背景
2016年当時、スマートフォンの普及によって通信量は急増し、従来の4G回線だけでは将来の需要を支えきれないとの見方が強まっていました。一方で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、日本政府は世界に先駆けて5Gを実用化し、新たな情報通信基盤を整備する方針を打ち出していました。
5Gは高速・大容量通信だけでなく、多数の機器を同時接続できることや超低遅延が特徴で、自動運転や遠隔医療、工場の自動化、IoT(モノのインターネット)など次世代産業を支える基盤技術として期待されていました。実際、NTTドコモは2016年5月にノキアと共同で世界初となる8K映像のリアルタイム5G無線伝送実験に成功するなど、通信各社は技術開発を加速させていました。
こうした中、総務省は2020年ごろの商用化を目標に、周波数の確保や実証実験を進めるための制度整備に着手し、日本が5G時代の国際競争で主導権を握れるかどうかが注目されていました。
2026年現在の状況
2020年3月に国内で5Gサービスが始まって以降、通信インフラの整備は急速に進みました。総務省によると、2023年度末時点の全国5G人口カバー率は98.1%に達し、2025年度末目標としていた97%を2年前倒しで達成しています。 また、2025年12月末時点の5G契約数は約1億2242万件となり、4G契約数を上回るなど、5Gは国内の主力通信規格となりました。
しかし、2016年に期待された自動運転や遠隔医療、IoTの普及は着実に進んだものの、一般利用では「通信速度が劇的に変わった」という実感は必ずしも広がっていません。現在は、高速通信そのものよりも、工場の自動化や建設機械の遠隔操作、物流管理など産業分野での活用が5Gの主戦場となっています。
さらに通信各社は、より低遅延・高信頼な5G SA(Standalone)の整備を進める一方、政府や企業では2030年代の6G実用化を見据えた研究開発も始まっており、5Gは現在も進化を続ける通信基盤となっています。
新は旧を兼ねるのか?
5Gが登場した当時、「5Gになれば4Gは不要になる」と考えた人もいたかもしれません。しかし10年後を振り返ると、その見方は必ずしも正しくありませんでした。確かに5Gは高速通信や低遅延、多数同時接続といった新たな性能を実現しましたが、4Gにも広いエリアを安定してカバーできるという強みがあり、現在でも多くの通信を支えています。
私たちは「新しいものは古いものを兼ねる」という感覚で技術を捉えがちです。しかし、技術は必ずしも「置き換える」のではなく、「役割を増やす」場合も多くあります。
5Gと4Gは競争する関係ではなく、それぞれの得意分野を生かしながら共存しています。10年後に見えてきたのは、「大は小を兼ねる」ことはあっても、「新は旧を兼ねる」とは限らないという、技術進化の姿でした。
10年後の未来
2016年、5Gは「4Gを置き換える次世代通信」として期待されていました。しかし10年後の現在、5Gは高速・低遅延・多数同時接続という新たな役割を加えましたが、4Gは依然として広いエリアを支える通信の基盤として活躍しています。
その関係は、新幹線ができても在来線がなくならない姿に少し似ています。速さが求められる路線と、地域を支える路線。それぞれに役割があるからです。
今、研究開発が進む6Gは、5Gに何を加えてくれるのでしょうか。そして4Gは、AMラジオのように長く社会を支える技術として残るのか、それとも3Gのように役目を終える過渡期の技術だったのか、どんな10年後になっているのでしょう。
