「国民の祝日として新たに加わった山の日』 全国各地でイベント開催」「『豊かな自然に親しむ機会の創出』 上高地で開かれたメイン式典に寄せられた大きな期待」

2016年8月11日の報道概要

 国民の祝日「山の日」が11日、初めて施行された。平成8年に制定された「海の日」以来、20年ぶりとなる新たな祝日の誕生で、長野県松本市の上高地では記念式典や全国大会が開かれ、多くの登山愛好家や関係者らが節目を祝った。

 「山の日」は、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨として制定された。全国各地でも登山イベントや自然観察会、森林保全活動などが行われ、夏休み期間中の新たな祝日として、家族連れなどでにぎわいを見せた。

 政府や自治体は、豊かな自然に恵まれた日本の山岳資源を生かし、観光振興や地域活性化につなげたい考えだ。登山やアウトドアへの関心の高まりに加え、訪日外国人旅行者(インバウンド)の誘客効果にも期待が寄せられており、新たな祝日が地域経済の活性化につながるか注目されている。

2016年8月当時の背景

2016年当時、国内観光や地方活性化の新たな柱として、豊かな自然資源を生かした観光振興への期待が高まっていました。2015年の訪日外国人旅行者数は約1,974万人と過去最高を更新し、政府は2020年までに4,000万人の達成を目標に掲げていました。一方、登山人口は2000年代後半の約1,200万人をピークに減少傾向にあり、山岳地域では観光客の呼び戻しや自然への関心を高める取り組みが課題となっていました。

こうした中、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」という趣旨で「山の日」が制定され、2016年8月11日に初めて施行されました。祝日法の改正による新たな国民の祝日は、1996年施行の「海の日」以来20年ぶりとなります。初回の全国大会は長野県松本市の上高地で開かれ、全国各地でも登山イベントや自然観察会、森林保全活動などが実施されました。山岳観光やアウトドア産業の振興に加え、日本の豊かな自然を改めて見つめ直す機会としても、大きな期待が寄せられていました。

2026年現在の状況

2026年現在、「山の日」はすっかり夏の祝日として定着し、登山だけでなく、キャンプやハイキング、森林散策など、幅広いアウトドアを楽しむ日として親しまれています。しかし、制定当初に期待された「山岳観光の活性化」という点では、社会環境の変化もあり、新たな課題も見えてきました。登山人口は中高年層を中心に推移する一方、若年層の参加は伸び悩み、山小屋やガイドなどの担い手不足も課題となっています。

現在では、「山の日」は単に登山を楽しむ祝日ではなく、日本の豊かな自然や国立公園の価値を国内外へ発信する象徴的な祝日としての役割も担うようになりました。自然を守りながら観光を発展させる「持続可能な観光」が重視される中、「山の恩恵に感謝する」という制定当初の理念は、2016年当時よりも幅広い意味を持つようになっています。

山の日の誕生日

「山の日」を理解するには、その20年前に制定された「海の日」を振り返る必要があります。海の日は、明治天皇の航海を記念する「海の記念日」をもとに、1996年に「海の恩恵に感謝する日」として祝日になりました。その前例があったからこそ、「海の日があるなら山の日も」という声が高まったとも言えます。

しかし、日付の決まり方は対照的でした。海の日は歴史的な出来事があった日をもとに制定されたのに対し、山の日は「いつがふさわしいか」という議論から始まりました。当初は「祝日のない6月」も候補となりましたが、梅雨で登山に適さないことなどから見送られました。また、8月12日案も日本航空123便墜落事故の日と重なることへの配慮から採用されず、お盆休みと連続させやすく、多くの人が山に親しめる8月11日に落ち着きました。

つまり、「山に感謝する日があったから祝日になった」のではなく、まず「『山の日』という祝日をつくる」ことが決まり、その後で「では何月何日にするのか」が議論されたのです。

10年後の未来

かつて祝日には、「その日でなければならない理由」がありました。しかし、ハッピーマンデー制度では、「3連休の方がうれしいよね」という理由で祝日が月曜日へ移り、山の日は、「海の日があるなら」という流れの中で誕生しました。

私たちは祝日であることは知っていても、今日は何を記念する日なのかまでは、あまり気にしていないのかもしれません。

いつか、「6月は祝日もなく、梅雨で気分も沈みがちだから」という理由で、「雨の日」が制定されても、「休みが増えるならいいか」と、意外とすんなり受け入れてしまう気もします。そして、その前日の天気予報では、アナウンサーが真面目な顔でこう伝えるのでしょう。

「明日の『雨の日』は、全国的によく晴れる見込みです。」