「夕張市、財政再建へ正念場 巨額の赤字、表面化」「炭鉱から『映画とメロン』の町へ 観光開発の失敗が招いた財政破綻の危機」


2006年5月22日の報道概要

 北海道夕張市の財政が深刻な状況に陥っている。かつて炭鉱の街として栄えた夕張市は、炭鉱閉山後の地域振興策として観光事業などに力を入れてきたが、相次ぐ施設整備や事業への投資などで多額の債務を抱えることになった。

 市はこれまで、財政不足を一時的な借り入れなどで補うことで厳しい財政状況を表面化させない運用を続けてきた。しかし、資金繰りが限界に近づき、2006年度には一時借入金の返済が困難になる見通しとなった。市の財政再建をめぐっては、国の関与を受けながら再建を進める「財政再建団体」への移行も現実味を帯びている。

 炭鉱閉山によって人口と税収が減少する一方、観光施設などの維持管理費も重くのしかかっている。市民生活への影響も避けられないとみられ、長年にわたって積み重ねられてきた財政問題の処理が大きな課題となっている。


2006年5月当時の背景

 夕張市の財政悪化の根底には、基幹産業だった炭鉱の相次ぐ閉山と、それに伴う人口・税収の急減がありました。1960年には約12万人だった人口は、2005年には約1万3000人まで減少。炭鉱閉山後の社会基盤整備だけでも1979~1994年度に約583億円が投じられ、そのうち約332億円を地方債で賄いました。

 市は「炭鉱から観光へ」を掲げ、テーマパークやホテル、スキー場など観光事業への投資を進めましたが、観光客は伸び悩み、観光事業会計の実質赤字は2005年度までに約144億7000万円に膨らみました。一般会計でも約40億6000万円の実質赤字を抱えていました。

 さらに、市は一時借入金などを利用して赤字を表面化させない会計処理を続け、問題の発覚を先送りしていました。2005年度までの実質赤字は全体で約257億円、2006年度末には約353億円に達する見込みとなり、長期債務などを含めた負債は約630億円規模に膨らんでいました。


2026年現在の状況

 夕張市は2007年に財政再生団体となり、現在も国の関与を受けながら財政再生計画を進めています。再生振替特例債の借入額は約321億9900万円で、2026年度中の実質赤字解消を見込み、2027年3月の完済を目指しています。

 その中で、地域資源として期待されているのが夕張メロンです。市の財政再生計画でも「夕張メロンを中心とした農業の推進」が産業振興策の一つに位置づけられています。かつて「炭鉱から観光へ」と進んだ夕張は今、「借金を返しながら、夕張メロンなど地域に残った強みをどう産業として育てるか」という次の段階を迎えています。


市の人口目安の5万人に対し、現在の夕張市はなんと5千人台!

 夕張市は2027年3月、財政再生計画の大きな節目となる再生振替特例債の償還完了を迎える予定です。財政破綻から20年。長い返済を終えようとしているのです。夕張メロンという全国的なブランドも残りました。借金も、もうすぐ返し終わる。財政破綻からの再生という意味では、「めでたし、めでたし」と言いたくなります。

ところで、2026年3月末の夕張市の人口は5707人。最盛期には約12万人いた街が、約60年で人口の95%以上を失っています。

 「市って、確か人口5万人以上が目安だったのでは?」 実は、市制施行時の人口要件と、その後も市であり続けることは別の話です。人口が減ったからといって、自動的に「町」へ戻るわけではありません。夕張は、借金を返し終えようとしている一方で、「市」と名乗ることに違和感を覚えるほど縮小してしまっています。

 財政再建は、まもなく一つの区切りを迎えますが、人口12万人の街が5700人になったことまで含めて「再建」と呼んでよいのか。夕張が問いかけているのは、自治体にとって「再生」とは借金を返すことなのか、それとも、人が住み続けられる街を残すことなのかという、もっと根本的な問題なのかもしれません。


10年後の未来

 財政再建を間もなく終えようとしている夕張市。その先に、どんな未来を描いているのでしょうか。かつて夕張を支えた炭鉱はなくなり、人口も大きく減りました。その中で、夕張メロンはブランドとして残り、市を支える存在となっています。

 ところで、これは夕張に限った話ではありません。かつて日本各地で地域を支えた工場、商店街、農林水産業などが衰退し、多くの地方自治体が「次に何を地域の柱にするのか」という課題に直面しています。

巨大な産業がなくなったあと、どのような産業、あるいは地域のブランドがその土地を支えるのか。夕張メロンは、炭鉱に代わって夕張の名前を守ってきました。斜陽のメロンが、またいつか朝陽を浴びる日を願いたいものです。