「若者の献血離れ 将来の血液不足に危機感」「20代の献血者が減少 少子高齢化で安定供給に懸念」
2016年8月17日の報道概要
若い世代の献血離れが進んでいる。病気やけがの治療に欠かせない輸血用血液は、献血によって確保されているが、10代から30代の献血者数は減少傾向にある。少子高齢化が進む中、将来にわたって安定的に血液を確保できるかが課題となっている。
日本赤十字社によると、2015年度の実献血者数は約283万人。年代別では10代が約20万人、20代が約53万人、30代が約55万人となっている。若年層の献血者が減少する一方、輸血を必要とする高齢者は増加している。日本赤十字社は若者への献血の呼び掛けを強めており、将来の献血を担う若い世代をどう確保するかが課題となっている。
2016年8月当時の背景
2016年当時、献血をめぐる問題の背景には、少子高齢化による「支える側」と「必要とする側」の変化がありました。輸血を必要とすることが多い高齢者が増える一方、献血を担う若い世代は減少しています。日本赤十字社の2015年度データでは、10代の献血者は約20万人、20代は約53万人、30代は約55万人。10~30代の献血者数は2006年度以降、減少傾向が続いていました。
さらに、献血された血液は長期間保存できず、現在のところ人工的な代替品もありません。そのため、必要なときに必要な量を確保するには、継続的に献血する人を確保する必要があります。若い時期に献血する人が減れば、その影響はすぐではなく、将来の血液供給に表れることになります。若者への啓発や学校での献血セミナーなどが重視されるようになったのも、こうした事情がありました。
2026年現在の状況
若者の献血離れは、10年がたった現在も解消していません。日本赤十字社によると、10~30代の献血協力者数は2015年の約204万人から2025年には約156万人へ減少し、10年間で約48万人、約24%減っています。
少子高齢化によって若い世代そのものが減る一方、輸血用血液製剤を使用する人の約88%は50歳以上となっており、「血液を必要とする世代」と「血液を支える世代」の隔たりが大きくなっています。
さらに血液は長期保存できず、人工的に製造する代替品もまだないため、必要な時に必要な量を確保するという、継続的な献血を求める仕組みは今も変わっていません。
募金と献血の違い
献血は、募金と同じように「善意で誰かを助ける行為」として捉えられることがあります。どちらも自分の持っているものを無償で提供するからです。ただ、その仕組みには大きな違いがあります。募金なら、一人の大金持ちが100万円、1000万円と寄付すれば、大きな金額を一度に集めることができます。そのお金は保管しておき、必要なときに使うこともできます。
ところが献血は違います。どれだけ大勢の人が一度に献血しても、その血液を何年も保存しておくことはできません。必要な血液を、その都度集め続ける必要があります。つまり、献血では「一人の大きな貢献」より、「毎回、多くの人が少しずつ支えること」が重要になります。
10年後の未来
献血する人が減り続けたとして、死に瀕している患者に対し「献血が不足しているので、輸血をあきらめてください」となる社会は考えにくいでしょう。また、「血液○○円/mLで買い取ります」と、血液を商品として扱う社会も想像しにくいものがあります。まして、血液の提供を義務にすることも現実的ではありません。
おそらく多くの人が漠然と期待しているのは、「そのうち医学が進歩して、人工血液のようなものができるだろう」という未来なのかもしれません。
もちろん、そうなってほしいものです。人から血液を提供してもらわなくても必要な血液を確保できるようになれば、献血者の減少という問題そのものが変わります。
ただ、「そのうち何とかなる」という未来は、勝手にやって来るわけではありません。人工血液を実用化するには、研究者が研究を続け、技術を改良し、安全性を確かめる必要があります。
2016年の私たちが「そのうち何とかなる」と思っていたことを、2026年の私たちもまだ待っています。そしていつか、本当に何とかなっているとしたら、その未来は「誰かが何とかしてくれた」結果ではなく、誰かが10年、20年と「何とかしよう」と動き続けた結果なのかもしれません。
