「G7伊勢志摩サミット開幕。首脳陣、揃って伊勢神宮の内宮を訪問」「宇治橋を渡る主要国首脳。サミットの冒頭を飾る、異例の文化的アプローチ」
2016年5月26日の報道概要
主要7カ国(G7)の首脳らは26日、三重県伊勢市の伊勢神宮を訪問した。伊勢志摩サミットの開幕を前にした行事で、安倍晋三首相が各国首脳を案内した。首脳らは内宮の宇治橋を渡り、新緑の参道を歩いて御正殿近くまで進んだ。日本を代表する神宮の雰囲気に触れ、サミットの舞台となる伊勢志摩の歴史や日本の伝統文化に触れた。
G7首脳がそろって伊勢神宮を訪れるのは初めて。政府は今回の訪問を通じ、日本の伝統文化を各国に紹介するとともに、首脳間の親睦を深める狙いがある。伊勢志摩サミットは同日、主要議題の協議を開始。世界経済やテロ対策、難民問題などをめぐり、各国首脳が意見を交わす。
2016年5月当時の背景
2016年の伊勢志摩サミットは、日本が8年ぶりにG7の議長国を務める国際会議でした。安倍晋三首相は開催地の三重県を舞台に、日本の歴史や文化を各国首脳に紹介することを重視し、サミット開幕に合わせて伊勢神宮を訪問先に選びました。
、宗教施設である伊勢神宮を各国首脳が訪れることには、政教分離との関係を指摘する声もありました。政府は宗教的な儀礼を伴わない「訪問」と位置付けることで政治と宗教の線引きにも配慮し、世界経済やテロ対策などを話し合う国際会議の幕開けを、日本固有の文化とともに演出しました。
2026年現在の状況
2016年の伊勢志摩サミットから10年。この間に、G7を取り巻く世界の勢力図は大きく変わりました。当時、G7は「世界の主要国」を象徴する枠組みとして大きな存在感を持っていましたが、中国は経済力や軍事力を急速に高め、インドなどの新興国も国際社会で発言力を増しています。G20やBRICS+といった枠組みが存在感を高める一方、G7の世界経済に占める比重は低下してきました。
さらに、G7の中心にいた米国の姿勢にも変化が見られます。2026年にはトランプ大統領が米中2大国によるG2という構図を意識した発言が報じられるなど、米国がG7を軸に世界をまとめるという従来の構図は揺らいでいます。
限られた先進7カ国が世界をリードする時代
2016年の伊勢志摩サミットには、G7という限られた先進国が世界の課題を話し合い、国際社会をより望ましい方向へ導いていくというイメージがありました。首脳が伊勢神宮に集まる光景も、世界のリーダーが一堂に会する出来事として受け止められました。
ところが、G7という枠組みを少し長い時間軸で見ると、その位置づけは意外なほど揺れ動いています。1998年にはロシアを加えてG8となり、大国間協調が模索されました。それが2014年にはウクライナ情勢をきっかけにまたG7へと戻ります。さらにその後は、中国の台頭によって米中という2大国の関係が世界情勢を左右する場面が増え、G20やBRICSも存在感を高めました。
2016年には揺るぎないものに見えた「G7が世界をリードする」という構図も、振り返れば一時的な姿だったのかもしれません。世界を動かす中心がどこにあるのかは、国際情勢によって短い期間でも変わっていく。その変化の途中に、伊勢神宮でのG7首脳の姿がありました。
10年後の未来
10年後、世界の中心は1つではなくなっているかもしれません。米国と中国が引き続き大きな力を持つ一方、インドがさらに存在感を高め、G7も形を変えながら影響力を保っている可能性があります。
一方で、国の規模だけでは測れない「中心」もありそうです。ウクライナは現代戦、とりわけドローンをめぐる実戦経験を蓄積し、各国の軍や企業がその知識を求める国になっているかもしれません。イランはホルムズ海峡をめぐる影響力を維持し、世界のエネルギー事情を左右する存在であり続ける可能性があります。ロシアも、長期戦を耐え抜く経済力や軍事力を背景に、現在より大きな影響力を取り戻しているかもしれません。
2016年には、世界の中心がG7という7カ国に集まっているように見えました。10年後には、経済ならこの国、軍事技術ならこの国、エネルギーならこの国というように、世界を動かす力が、いくつもの場所に分散している。そんな国際社会になっていても不思議ではありません。
