「無人戦闘機の開発構想 日本、将来の航空戦を見据え」「戦闘機を無人化へ AI・ロボット技術の活用を検討」
2016年8月22日の報道概要
防衛省が、将来的な無人戦闘機の実現を視野に、無人機の研究開発を進める構想を持っていることが分かった。戦闘機の無人化や人工知能(AI)などの技術を活用し、有人機と無人機を組み合わせた新たな航空戦力の実現を目指す。パイロットの人的損失を抑えながら、より高度な任務に対応する狙いがある。
防衛省は、将来の戦闘では多数の航空機やセンサーをネットワークで連携させ、情報を共有することが重要になるとみている。すでに「将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン」をまとめ、無人機を含む複数の航空機などをネットワークで結び、情報を共有する構想を示している。
無人機については、単独での運用だけでなく、有人戦闘機と連携して任務を分担することも想定している。有人機を支援する無人機の活用など、従来とは異なる航空戦力の在り方について研究を進める方針だ。
2016年8月当時の背景
2016年当時、防衛省はF-2戦闘機の後継となる「将来戦闘機」の研究を進めていました。2010年に公表された研究開発ビジョンでは、情報を共有するネットワーク、AIなどによる知能化、レーザーなどを活用した瞬時の攻撃能力を組み合わせた「i3 Fighter」の構想が示されていました。特に、戦闘機だけでなく大型機や無人機などをネットワークで結び、センサーや兵器を最適に使う「クラウド・シューティング」が構想の柱となっていました。
また、F-2の後継となる将来戦闘機については、2013年の中期防衛力整備計画でも、将来のネットワーク化された戦闘の中核を担う機体を取得するため、必要な研究を進める方針が示されていました。
2026年現在の状況
2026年現在、日本は「無人戦闘機そのもの」を単独で実用化するというより、有人戦闘機と無人機を組み合わせる方向へ構想を具体化しています。次期戦闘機は英国、イタリアとの3カ国共同開発となり、2035年度までの開発完了を目指しています。次期戦闘機などの有人機と連携する「戦闘支援無人機」の研究開発も進められています。
さらに、防衛力整備計画では、有人機と無人機の連携強化に加え、複数の無人アセットを同時に運用する能力の強化が明記されています。AIを用いて複数の無人アセットを制御する能力についても、今後おおむね10年の目標として掲げられています。
つまり、2016年に描かれていた「無人化」は、10年後には「人間が乗らない戦闘機を作る」という単純な構想から、人間が乗る戦闘機と、乗らない航空機をネットワークで組み合わせる戦い方へと姿を変えています。
ニュースの構造
無人機というと、AIや高度な通信技術によって生まれた「未来の兵器」のように感じます。しかし、その根本にある発想そのものは、実はとても古いものです。戦闘の本質の一つは、「自分の被害をできるだけ減らしながら、相手に打撃を与える」こと。弓矢や大砲、ミサイルも、その延長線上にあります。
そう考えると、無人機は「新しく考え出された兵器」というより、人間を危険な場所から切り離したかったけれど、技術が追いつかなかったものと見ることもできます。巡航ミサイルは、その先行例ともいえるでしょう。
この視点から見ると、特攻という悲劇も別の角度から見えてきます。もし当時、無人航空機を運用できる技術体系が存在していたなら、目標に航空機を送り込むために、操縦者自身が命を捨てる必要はなかったかもしれません。
1944年には「人間を機体に乗せる」しかなかった。現代は「人間を機体から降ろす」ことができる。無人機は、まったく新しい戦争を生み出したというより、人間を戦闘から遠ざけるという、戦う者が古くから持ってきた本能を、技術が実現し始めたものなのかもしれません。
10年後の未来
無人戦闘機の未来を考えると、興味深い変化が見えてきます。これまで軍事技術は、人的コストを下げるために技術コストを上げる方向へ進んできました。軍人を危険にさらさないために、無人機や高度なセンサー、通信、AIを開発する。人間の命を守る代わりに、より高価な兵器を使うという考え方です。
ところが、ロシア・ウクライナ戦争や、米国とイランの軍事衝突で安価なドローンが大量に使われるようになると、別の問題が浮かび上がりました。数百万円のドローンを撃ち落とすために、数億円の迎撃ミサイルを使うことは、果たして合理的なのか。無人化によって人的コストを下げた次に、今度は経済的なコストが問われ始めています。
今後の戦争は、「最も高性能な兵器を持っているか」だけでなく、「十分な性能の兵器を、どれだけ安く、大量に作れるか」が重要になりつつあるようにも見えます。人間を守るために高価になった兵器が、今度は「いくらなら失ってもいいのか」を問われています。
