「日本、400mリレー銀 アジア新37秒60」「4人のバトンが世界を驚かす 日本、北京以来の銀メダル」
2016年8月20日の報道概要
リオデジャネイロ五輪の陸上男子400メートルリレー決勝で銀メダルを獲得した。日本の同種目でのメダル獲得は2008年北京大会の銅メダル以来で、銀メダルは初めてとなった。
日本は山県亮太、飯塚翔太、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥の4人で臨み、予選でも37秒68の日本記録を樹立。決勝ではさらに記録を縮め、37秒60を記録した。優勝したジャマイカは37秒27で、アンカーのウサイン・ボルトは100メートル、200メートルと合わせて3大会連続の3冠を達成した。
個人種目では世界の強豪との差が指摘される日本だったが、4人の走力と精度の高いバトンパスを組み合わせ、強豪国がそろう決勝で世界のトップに迫る走りを見せた。
2016年8月当時の背景
個人の100メートルで世界のトップクラスと互角に戦うことが難しい日本は、男子400メートルリレーにおいては、バトンパスの技術を磨くことでチームとしてのタイムを縮めてきました。2008年北京五輪では38秒15で銅メダル、2012年ロンドン五輪では38秒35で4位となり、世界大会でも上位に食い込む力を見せていました。2015年には38秒60で世界選手権の予選敗退に終わりましたが、2016年には桐生祥秀らを中心に戦力が充実しました。
リオ大会では予選で従来の日本記録を0秒35更新する37秒68をマークし、決勝ではさらに37秒60まで短縮しました。4人の100メートルの記録を単純に足しただけでは届かないタイムを、走順や加速、バトンの受け渡しによって実現したことも注目されました。日本は「個人の速さ」だけではなく、「4人で走る技術」に活路を見いだしていました。
2026年現在の状況
リオ五輪後も、日本の男子400メートルリレーは世界の上位争いを続けています。2017年の世界選手権では38秒04で銅メダル、2019年の世界選手権では37秒43のアジア新記録で銅メダルを獲得し、2016年の37秒60を更新しました。
一方、2021年の東京五輪では決勝で途中棄権となり、2022年の世界選手権では失格。2023年の世界選手権は37秒83で5位、2024年パリ五輪も37秒78で5位でした。
さらに2025年の東京世界選手権では38秒35で6位でした。10年前の銀メダル以降、日本は一度も五輪のメダルを獲得していませんが、世界大会では依然として決勝進出を続けています。
4人の足し算と「駆け算」
リオ五輪男子400メートルリレー決勝に進んだ8チームについて、リレー直前の4人の100メートルのシーズンベストを単純に足すと、日本は40秒52で6番目。これだけを見れば、メダルには届きません。一方、最も速かったのは米国の39秒58で、ジャマイカの39秒60が続きました。
ところが、実際の結果はジャマイカが金、日本が銀、カナダが銅。個人の「足し算」では1位だった米国は、バトンパスの違反でゴール後に失格となりました。反対に日本は、精度の高いバトンパスや走順、加速を組み合わせ、37秒60のアジア新記録をマークしました。
リレーは、速い4人を集めれば勝てる競技ではありません。個人の走力に、バトンを渡す技術、タイミング、走順、そして4人の相性までが重なって結果が生まれます。4人の「足し算」では6番目だった日本が、「駆け算」では世界で2番目になった。2016年の銀メダルは、個人の能力だけでは測れない、チームの面白さを見せたレースでした。
10年後の未来
ただ、掛け算といっても掛け合わせれば必ずしも強くなるわけではありません。
例えば1と1を足せば
1+1=2
ですが、1と1を掛ければ
1×1=1
です。
では、3と3ならどうでしょう。
単純に足せば
3+3=6
ですが、掛ければ
3×3=9
となります。足せば6、掛ければ9。掛け算は、個々の力が強くて初めて意味が出てくるのです。
サッカーやバレーボール、バスケットボールなどでも、「日本は組織力で戦う」と語られることがあります。それは「個人では弱いけれど、集団になると強い」という意味ではないのかもしれません。個々が世界で戦える力を持ち、それを掛け合わせることで、足し算以上の力に変える。それぞれに「個の力」があって初めて、意味のある掛け算になるのでしょう。
未来の日本代表は、どんな競技でどんな「駆け算」を見せてくれるのでしょうか。2016年の4人が教えてくれたのは、個人では世界のトップになれなくても、チームとして世界のトップを目指せるということ。そして、そのためには「組織力」という言葉だけではなく、一人一人の強さも必要だということなのかもしれません。
