「最新鋭F35B、岩国へ 17年1月から配備」「ステルス戦闘機を国内初配備 米海兵隊、岩国基地に」
2016年8月23日の報道概要
防衛省は22日、米海兵隊の最新鋭ステルス戦闘機F-35Bを2017年1月から山口県の岩国基地に配備する計画を地元に説明した。米国外では初めての前方配備となる予定で、2017年1月にF/A-18ホーネット1部隊12機をF-35B10機に更新し、同年8月にはAV-8Bハリアー8機をF-35B6機に更新する計画だった。
F-35Bは、レーダーに探知されにくいステルス性能に加え、短距離での離陸や垂直着陸が可能な機種で、米海兵隊の次世代戦闘機と位置付けられていた。日本国内では初めての配備となることから、地元では騒音や安全性、環境への影響などを懸念する声も出ていた。
一方、米側は今回の計画を新たな部隊の増設ではなく、既存機からの「機種更新」と説明。配備後の航空機数は従来より4機減少し、飛行回数も減少するとの見通しを示した。
2016年8月当時の背景
F-35は、米国などが開発を進めていた第5世代のステルス戦闘機で、空対空戦闘だけでなく、地上攻撃や情報収集など複数の任務を担うことを想定していました。F-35Bはそのうち米海兵隊向けの機種で、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)能力を備えていることが特徴です。
一方、F-35は開発段階から、開発費の高騰や計画の遅れ、技術的な問題などが繰り返し報じられていました。既存の戦闘機との性能比較をめぐる報道もあり、「高価な最新鋭機は本当に期待された能力を発揮できるのか」といった疑問も取り上げられていました。
そうした中で、F-35Bが日本国内で初めて岩国基地に配備されることになり、注目を集めました。最新鋭機の導入という期待がある一方、騒音や安全性への懸念に加え、機体そのものへの不安も報じられる中での初配備だったためです。
2026年現在の状況
2016年当時、開発の遅れや高コスト、技術的な問題などが報じられたF-35は、その後、米国をはじめ各国で配備が進み、現在では主要なステルス戦闘機の一つとして運用されています。日本でも航空自衛隊がF-35Aを配備し、F-35Bについても導入が進められています。
また、当時話題になった「F-35がF-16との模擬空戦で苦戦した」という報道についても、F-35の設計思想が次第に広く理解されるようになりました。F-35は、従来の戦闘機のように近距離で旋回性能を競う「ドッグファイト」を主眼とした機体ではなく、ステルス性能や高性能なセンサー、情報共有能力を組み合わせ、敵を先に発見して味方と情報を共有しながら戦う「ネットワーク戦」を重視した戦闘機です。
つまり、2016年当時は「従来の戦闘機と比べてどうなのか」という見方が目立っていましたが、その後は「そもそも従来とは違う戦い方をするための戦闘機」という理解が広がりました。開発中の問題がすべて消えたわけではありませんが、F-35は「問題だらけの新型機」という段階から、実際に各国の航空戦力を構成する戦闘機へと移行しています。
「F-35B報道」と、かつての「オスプレイ報道」の共通点
F-35の配備をめぐる報道には、かつてのオスプレイをめぐる報道と似たところがあります。危険性や高コスト、性能への疑問などが目立つ一方で、「それほど問題がある装備なら、なぜ米軍は使い、日本も導入しようとしているのか」という視点が十分に伝わらないことがあります。
もちろん、危険性や問題点を報じることは重要です。ただ、オスプレイはヘリコプターのように垂直離着陸でき、飛行機のように高速・長距離を移動できるという特徴がありますし、F-35Bも、短距離で離陸し垂直着陸できる能力を持ちます。役割は違っても、限られた場所から航空戦力を展開できるという点では共通しています。
島しょ部が多く、広い海域を抱える日本にとっては、こうした能力が必要になる場面があります。だからこそ、装備の危険性や欠点だけを見るのではなく、「問題があるのに、なぜそれを選ぶのか」まで考えることが重要です。欠点を隠す必要も、長所だけを強調する必要もない。その両方を見て初めて、その装備が日本にもたらすメリットとデメリットを判断する必要があるように感じます。
10年後の未来
F-35をめぐっては、オスプレイと同じように、機体そのものの性能やコスト、危険性が盛んに議論されました。その中でも最も衝撃的だったのが、最新鋭ステルス機にもかかわらず、旧世代の「F-16に負けた」という話題です。
しかし、F-35はそもそも、1機の戦闘機だけで戦うことを前提にした機体ではありません。ステルス性能やセンサー、情報共有を組み合わせ、他の航空機や部隊とネットワークで戦うことを前提に設計されており、F-35という個別の機体の性能よりむしろ、ネットワーク全体の中でどう機能するのかを見る必要があります。当時の議論は「木を見て森を見ず」だったのかもしれません。
では、個別の能力ではなく、F-35が得意とするネットワーク戦という「森」を見ればどうでしょうか。今度は別の問題が出てきます。F-35の運用を米国のシステムや部品、ソフトウェアなどに大きく頼ることになれば、米国との関係そのものが重要になります。米国の意向で機体の機能を制限できる、いわゆる「キルスイッチ」の存在を懸念する国もあります。
米国への信頼が揺らぐ中では、たとえ物理的な「キルスイッチ」がなかったとしても、メンテナンスや部品、武器の供給が政治的に制限される可能性は考えておく必要があります。機体の個別の性能を見る。ネットワーク戦という現代の戦い方を見る。そして、その先にある日本の防衛を見る。F-35をめぐる議論は、「機」を見て「守」を見ずになってはいないか。そんな問いを残しているのかもしれません。
