「米スペースシャトル『アトランティス』打ち上げ成功 国際宇宙ステーション(ISS)建設、4年ぶり再開」
2006年09月10日の報道概要
米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル「アトランティス」が9日午後11時14分(日本時間10日午後0時14分)、フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた。国際宇宙ステーション(ISS)の建設作業を担う飛行で、2003年2月の「コロンビア」事故以来中断していたISS建設が約4年ぶりに再開する。
アトランティスには6人の宇宙飛行士が搭乗。ISSに電力を供給する太陽電池パネルなどを搭載しており、滞在中にISSの骨組み部分となるトラスを取り付ける。今回の作業によってISSの発電能力は大幅に増強される見通し。
NASAは2010年までのISS完成を目指しており、今後もスペースシャトルによる建設資材の輸送を続ける方針。シャトルの打ち上げ再開後、ISS建設を本格化させる最初の大型ミッションとなる。
2006年09月当時の背景
ISSは1998年に最初の構成要素が打ち上げられ、米国、ロシア、日本、カナダ、欧州などが参加する国際共同プロジェクトとして建設が進められていました。しかし2003年2月のコロンビア事故によってスペースシャトルの運航が長期間停止し、ISSへの大型部品の輸送も大きく制約されます。2006年にはシャトルの運航が再開され、7月の「ディスカバリー」に続いて、9月の「アトランティス」がISS建設に投入されます。
この時点でNASAは、2010年までにISSの米国側の主要な建設を終える計画を掲げていました。アトランティスが運んだ太陽電池パネルは、その完成に向けた重要な部品でした。ISSにはこの後も多数のモジュールや設備が運ばれる予定で、宇宙空間に巨大な研究施設を少しずつ組み上げるという計画が進められていました。
2026年現在の状況
ISSはその後も建設と設備更新が続き、2006年のアトランティスが取り付けた太陽電池パネルの大型構造物も現在のISSを構成する一部として使われています。
ISSは1998年の建設開始から20年以上にわたって運用され、これまで26カ国から280人を超える人が滞在しました。米国、ロシア、日本、カナダ、欧州の5つの宇宙機関が運営に関わる、世界でも類を見ない国際共同施設となっています。
一方、ISS建設を大きく前進させたスペースシャトルは、2011年にその役目を終えました。アトランティスの最後の飛行は2011年7月。スペースシャトル計画そのものも同時に終了し、1981年の初飛行から30年間で135回の飛行を実施しました。
以降、ISSへの有人輸送はロシアのソユーズが担い、2020年からは米国の民間宇宙船による有人飛行も始まっています。2006年には「これからISSを作るための輸送手段」だったスペースシャトルは、2026年にはすでに退役した歴史的な宇宙船となっています。
宇宙船の再利用から使い捨て、そしてまた再利用へ
スペースシャトルは、宇宙船を繰り返し使うことで、宇宙への移動を飛行機のように身近なものにするという夢から生まれました。技術が進歩すれば、宇宙開発もやがて日常的な輸送になる。そんな期待を背負った存在でした。
しかし実際に運用してみると、機体の点検や整備、打ち上げ準備には膨大な費用と手間がかかり、「再利用できること」と「安く何度も飛ばせること」は同じではありませんでした。2011年にスペースシャトルは退役し、その後の有人宇宙船は使い捨て型が中心となります。
ところが技術と民間の宇宙開発が進んだ現在、ロケットや宇宙船の再利用が再び現実的になっています。かつての夢をそのまま追い続けるのではなく、コストという壁にぶつかったことで、何を再利用するのが合理的なのかを見直した結果です。夢を捨てたのではなく、夢にかかるコストを知ったことで、その実現方法が変わったのかもしれません。
10年後の未来
スペースシャトルは、「宇宙を飛行機のように利用する」という夢を追いかけました。しかし、実際に運用すると、想像以上のコストがかかることが分かり、2011年に退役しました。それでも、人類は宇宙へ行くという夢を諦めたわけではありません。現在はSpaceXなどが再利用可能なロケットを開発し、さらにその先には火星移住という、スペースシャトルよりはるかに大きな夢があります。
火星に人が暮らすには、技術だけでなく、膨大な費用や長期間の運用、安全性など、さまざまな現実の壁を越えなければなりません。いずれ「そこまでお金をかけて、火星に行く意味があるのか」という問いに直面する可能性もあります。
そのとき人類は、夢のコストに負けて諦めるのでしょうか。それとも、スペースシャトルで一度経験したように、夢そのものを捨てるのではなく、実現する方法を変えて再び挑戦するのでしょうか。
