「地方空港、国際線誘致競争が激化 LCC・訪日客獲得へ支援拡充」「地方空港、アジア路線争奪戦 補助金や着陸料優遇で誘致加速

2016年7月30日の報道概要

 全国の地方空港で、アジア圏を中心とした訪日外国人旅行者の取り込みを目指す国際線の誘致競争が激しさを増している。訪日客の増加を背景に、地方自治体や空港ビル会社は格安航空会社(LCC)の新規就航やチャーター便の誘致に向け、補助金制度の拡充を急いでいる。

首都圏や大都市圏の主要空港では発着枠の逼迫が課題となる一方、地方空港は新たな受け皿として存在感を高めようとしている。免税店の整備や着陸料の減免などの優遇策を打ち出し、海外航空会社へのトップセールスを積極的に展開する動きが相次いでいる。

各地では、国際線の就航を地域活性化や観光振興の切り札と位置付け、受け入れ体制の整備と路線誘致に力を注いでいる。自治体間の競争は今後一段と激しくなる見通しだ。

2016年7月当時の背景

当時、地方自治体にとって訪日外国人旅行者の急増は、人口減少や地域経済の停滞を打開する大きなチャンスと受け止められていました。2015年の訪日客数は前年比47.1%増の1,973万人、旅行消費額も約3.5兆円と過去最高を更新しましたが、その多くは東京、大阪、京都などの大都市圏に集中していました。そのため地方では、外国人観光客を地域へ呼び込めるかが観光振興の重要な課題となっていました。

また、羽田や成田、関西空港では発着枠の逼迫が進む一方で、多くの地方空港には受け入れ余力があり、新たな国際線の就航先として期待が高まっていました。各自治体はLCCやアジアの航空会社を誘致するため、就航補助金や着陸料の減免、免税店の整備など優遇策を競うように打ち出し、首長自ら海外でトップセールスを展開する例も相次ぎました。国際線の開設は観光客の増加だけでなく、地域経済や雇用の活性化にもつながる重要な成長戦略と位置付けられ、地方空港を抱える自治体による誘致競争は全国的に本格化している時期でした。

2026年現在の状況

この10年間で、地方空港の明暗は大きく分かれました。2019年まではインバウンド需要を背景に国際線が拡大したものの、2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響で多くの国際線が運休し、地方空港は厳しい経営を余儀なくされました。

その後は訪日需要が急回復し、2025年の訪日客数は約4,268万人と過去最高を更新しています。こうした追い風を生かした空港では、新千歳空港が2024年に約2,397万人、福岡空港も約2,677万人の利用者を記録し、福岡空港では2025年に第2滑走路の供用開始や国際線ターミナルの拡張が実現するなど、受け入れ能力の強化が進みました。

一方で、すべての地方空港が恩恵を受けたわけではありません。国際線ネットワークが限定的な空港や需要の少ない空港では、コロナ禍で失った路線の回復が遅れ、自治体による支援に依存する状況が続いています。能登空港は2024年の能登半島地震で一時閉鎖されるなど、自然災害による打撃も受けました。

現在の地方空港政策は、2016年当時の「路線数を増やす誘致競争」から、地域での宿泊・消費を増やす高付加価値観光や、オーバーツーリズムを避けながら持続可能な観光を実現する「地域経営」の拠点づくりへと重点が移っています。

そもそもなぜ地方空港はこれほどつくられたのか

日本には現在、約100の空港があり、その多くは1960~90年代にかけて整備されました。当時は「空港が地域発展の起爆剤になる」と期待され、企業誘致や観光振興、東京へのアクセス向上を目的に各地で建設が進められました。特に地方では、国際線が就航すれば海外から観光客や企業が集まり、地域経済が活性化すると考えられていました。

しかし現実には、空港を造れば利用者が増えるわけではありません。利用者が少なければ便数は減り、便数が減ると利便性が低下してさらに利用者が減るという悪循環に陥る空港も少なくありませんでした。

本来は空港が地域を活性化することが目的のはずでしたが、現在では空港を維持するために航空会社や利用客を呼び込むという、本末転倒ともいえる状況が生まれてしまいました。

10年後の未来

地方空港が各地に整備された最大の目的は、地方と都市部を短時間で結び、人やモノの流れを活発にすることでした。離島のように生活を支えるため不可欠な空港もありますが、多くの地方空港は「飛行機なら鉄道より早く移動できる」という価値を期待されて建設されました。

しかし、利用者が伸びない空港では便数が減少し、飛行機本来の強みは次第に失われていきます。速度は速くても、数少ない便に合わせて何時間も待つ必要があり、結果として鉄道の方が早く目的地へ着けるという皮肉な状況も生まれました。どれほど足の速いウサギでも、眠っていては歩き続ける亀には勝てません。各地の自治体は、国際線の誘致などを通じて利用者を増やし、眠ってしまったウサギを何とか起こすことはできるのでしょうか。