「日本企業、アフリカ市場進出を加速 人口増に商機、TICADを追い風に」「最後の成長市場アフリカへ 日本企業、投資・事業展開を拡大」
2016年8月17日の報道概要
アフリカ市場に日本企業が相次いで進出している。人口増加や経済成長を背景に、インフラ整備や自動車、食品など幅広い分野で事業機会が広がっているためだ。
8月27、28日にケニアで開かれる第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)を前に、日本政府も企業の進出を後押しする。アフリカの人口は10億人を超え、今後も増加が続く見通し。長期的な消費市場としての期待は大きく、日本企業にとっても新たな成長の場となりつつある。
ただ、進出には課題も多い。日本企業のアフリカでの拠点数は欧米や中国に比べて少なく、道路や電力などのインフラ不足に加え、政情や治安、為替変動といったリスクも抱える。成長が期待される一方、現地事情を踏まえた事業展開が課題となっている。
2016年8月当時の背景
2016年当時、アフリカは「援助する地域」から「成長する市場」へと見方が変わり始めていました。人口は10億人を超え、アフリカの実質GDP成長率も過去5年間で約5%、2050年には人口が20億人を突破するとの予測もあり、長期的な消費市場として注目されていました。
一方で、日本企業のアフリカ進出はまだ限定的でした。2014年時点の日本企業のアフリカ進出拠点数は、全世界の進出拠点の1%未満で、中国企業が道路や鉄道、港湾などのインフラ整備を進め、現地で存在感を高める中、日本企業には出遅れ感もありました。
そこで政府は、8月にケニアで開かれるTICAD VIを活用し、日本の製品や技術を売り込むとともに、投資協定の整備や金融支援などを通じて企業の進出を後押ししようとしていました。
2026年現在の状況
2016年から10年がたち、日本企業のアフリカ進出は増えましたが、世界の企業と比べると、なお出遅れています。2021年の日本のアフリカへの直接投資残高は約57億ドル。英国の約600億ドルの10分の1にも届かず、英国、米国、フランス、中国、インドなどと比べても低い水準でした。経済産業省は、日本企業がアフリカへの進出に積極的になれない要因の一つとして、投資収益性の低さを挙げています。
ただ、企業側の関心そのものは高まっています。2025年度のジェトロ調査では、アフリカに進出する日系企業の注目国としてケニア、ナイジェリア、南アフリカなどが挙がり、人口増加や市場規模、天然資源、港湾・物流、スタートアップなどが注目点として挙げられました。
それでも日本のアフリカとの関係を振り返ると、長く「開発」「援助」という視点が前面に出ていました。政府も現在は市場、資源、GX・DXなどを意識したビジネス展開を進めていますが、欧米や中国などが早くから市場、資源、外交、安全保障といった複数の視点でアフリカを見てきたのに対し、日本では「支援する場所」という見方が強かったことが、企業進出の差につながっているのかもしれません。
「援助」の成分表示
長年、アフリカは日本にとって援助の対象でした。
「援助」と聞くと、日本では「困っている相手を助ける人道支援」と「相手国との関係をよくする外交」の2つくらいを思い浮かべるかもしれません。ところが国際社会を見渡すと、援助にはもっと多くの成分が含まれています。
例えば、資源の豊富な国への支援には鉱物や石油などの安定確保という目的が入り得ます。大きな市場への支援なら、自国企業の進出や将来の顧客を増やす狙いも考えられます。軍事面では、友好国を増やしたり、重要な海上交通路や地域での影響力を確保したりする意味も出てきます。欧州諸国の場合には、旧植民地との歴史的な関係も加わります。
同じ「援助」というラベルが貼られていても、中身は国や地域によって違います。国交がない国であっても災害時には支援するような「人道100%の天然援助」もあれば、人道をベースに、市場、資源、安全保障などを混ぜた「ミックス援助」もあります。
日本は長く、アフリカを「支援しなければならない地域」として見てきた一方で、その先にある巨大な市場や豊富な資源、地政学的な重要性には、十分に目を向けてこなかったのかもしれません。困っているから助ける。その先に何があるのかを、あまり考えずに支援していたとすれば、少しもったいない話でもあります。
10年後の未来
日本の対アフリカ援助の弱点と強みは、表裏一体なのかもしれません。日本はアフリカを市場として見るのが遅れた。だから、企業進出でも出遅れました。でもその一方で、アフリカを市場や資源として露骨に見てこなかったからこそ、警戒されにくかったのかもしれません。そして、その「飲みやすい援助」のおかげで、日本は”信頼できる国”としてのメリットを享受できているのかもしれません。
ところで、日本は幸い今のところ、他国から援助を受ける立場ではありません。ただ、もし将来日本が援助される側になったとしたら、差し出されたものをすべて同じ援助として受け取るでしょうか。それとも、「援助の成分表示」にしっかり目を通すことになるのでしょうか。
