「動画配信『ネットフリックス』日本上陸から半年。レンタル店大手の牙城は依然として高く、普及には時間がかかるとの予測」

2016年3月7日の報道概要

 米動画配信大手ネットフリックスが日本でサービスを開始してから半年余りが経過したが、国内の映像市場では依然としてレンタル店が主流の座を維持している。全国に店舗網を展開するTSUTAYAやゲオでは、新作を手頃な価格で借りられる利便性が支持されており、多くの利用者が従来のレンタルサービスを選んでいる。

動画配信サービスは、月額定額で作品を視聴できる新たな仕組みとして注目される一方、視聴できる作品数や新作の充実度には課題も残る。また、高速通信環境が十分に普及していない地域もあり、安定した視聴環境を求める声も少なくない。映像作品をディスクという形で手元に借りる安心感も根強く、定額制による視聴スタイルが広く定着するかは、なお見通せない状況だ。当面は、レンタル店と動画配信サービスがそれぞれの特長を生かしながら共存していくものとみられている。


2016年3月当時の背景

2016年当時、日本ではスマートフォンの普及が進み、動画配信サービスへの関心が高まり始めていました。一方で、映像作品を楽しむ手段の中心は依然としてレンタル店でした。全国にはTSUTAYAやゲオの店舗が数多く展開され、新作映画やドラマは発売直後にレンタルされるのが一般的でした。

2015年には米国のネットフリックスが日本でサービスを開始し、Amazonプライム・ビデオも会員向け配信を本格化させるなど、新たな視聴スタイルが登場しましたが、当時は現在ほど配信作品が充実しておらず、新作映画は配信まで時間がかかるケースも少なくありませんでした。

また、家庭によっては通信容量や回線速度への不安も残っており、「見たい作品はレンタルで借りる」という利用者が大半を占め、映像を「借りに行く」時代から「配信で見る」時代への転換点として、市場の行く末が注目されていた時期でした。


2026年現在の状況

2026年現在、映像視聴の主役はレンタル店から動画配信サービスへと大きく移りました。NetflixやAmazon Prime Video、Disney+などが国内で広く普及し、映画やドラマだけでなく、配信限定作品やオリジナル作品が視聴者を獲得する重要な要素となっています。

一方、全国に数多く存在したレンタル店は閉店が相次ぎ、TSUTAYAはレンタル事業を縮小、ゲオも店舗運営の軸をゲームや中古スマートフォン、リユース事業へ移すなど業態転換を進めています。また、高速通信やスマートフォン、スマートテレビの普及により、映像を「借りに行く」のではなく、見たい時にその場で視聴するスタイルが定着しました。

現在では、映像作品を所有することよりも、月額料金を支払って必要な時に利用する「サブスクリプション」という考え方そのものが、多くの人々の生活に浸透しています。


かつてのTSUTAYAという巨人

今では想像しにくいかもしれませんが、かつてのTSUTAYAは、日本においては現在のYouTube、Netflix、Spotifyを合わせたような存在でした。映画やドラマ、音楽を楽しむ入口として圧倒的な知名度を誇り、地上波テレビ以外の映像に触れるなら、まずTSUTAYAへ足を運ぶのが当たり前でした。

しかし、その後の市場は動画配信サービスの急成長によって一変します。TSUTAYAは動画配信事業にも参入しましたが、店舗を軸とした事業構造から大きく転換することはできず、レンタル事業は縮小を余儀なくされました。

もし、当時の日本人なら誰もが知っていたブランド力をそのままデジタルに移行できれば、少なくとも日本国内においては多くの人が利用する動画配信サービスになっていた可能性があったかもしれません。


10年後の未来

ところで、レンタル店の店舗数激減について、「借りる・返す手間が配信に負けた」と語られがちです。しかし、その説明だけでは、映画館の市場規模が過去最高を更新している現状を説明できません。映画館も足を運び、時間を合わせる必要があるという意味では、DVDレンタル以上に面倒な娯楽だからです。しかし、現在の映像コンテンツブームの波に、ストリーミングサービスだけでなく、映画館市場も乗っているようです。

全国に店舗を構え、映画や音楽、書籍まで揃えたTSUTAYAには、当時求められるコンテンツのほとんどすべてがありました。それでも時代の主役ではなくなりました。巨大な店舗網も、豊富な品ぞろえも、知名度も、何でもあったTSUTAYAに無かったものは一体何だったのでしょうか。