「10年間で総額約2100億円! Jリーグが動画配信サービス『DAZN』と放映権契約を締結」

2016年7月20日の報道概要

 Jリーグは20日、英国のスポーツ動画配信会社「DAZN(ダ・ゾーン)」と、2017年シーズンから10年間にわたる放映権契約を締結したと発表した。契約総額は約2100億円で、Jリーグ史上最高額となる。これにより、J1、J2、J3の全公式戦はDAZNを通じてライブ配信される予定で、スカパー!によるリーグ戦中継は今季限りで終了する。

今回の契約により、各クラブへの配分金は大幅な増額が見込まれ、クラブ経営の安定化や競技力向上への期待が高まっている。一方、インターネット配信への移行に伴い、視聴環境の整備や視聴方法の変化に戸惑うファンも予想されるなど、国内スポーツ中継のあり方を大きく変える契機となりそうだ。

2016年7月当時の背景

2016年当時、スポーツ中継を取り巻く環境は大きな転換期を迎えており、インターネットやスマートフォンの普及によって、テレビ放送中心だった視聴スタイルは、好きな時間や場所で映像を楽しむ動画配信へと移り始めていた。

Jリーグはクラブ間の経営格差や国際競争力の向上が課題となっており、安定した収入源の確保が急務となっていた。こうした中、英国の動画配信会社DAZNは世界各国でスポーツ配信事業を拡大しており、日本市場への本格参入を目指してJリーグと大型契約を締結した。契約期間は2017年から10年間、総額約2100億円と、それまでの放映権料を大幅に上回る破格の内容で、J1・J2・J3の全試合をインターネットでライブ配信することが決まった。

クラブへの配分金増額による競技力向上への期待が高まる一方、従来のテレビ中心の視聴者からは「ネット環境が必要になる」「見慣れた放送がなくなる」といった戸惑いの声も上がり、日本のスポーツ中継のあり方が大きく変わる節目として注目を集めた。

2026年現在の状況

2016年にDAZNが獲得したJリーグの放映権は、その後も契約が更新され、現在もDAZNによるインターネット配信が続いています。かつてJリーグ中継の中心だったスカパー!は現在、リーグ戦の放映権を持たず、観戦スタイルは衛星放送からインターネット配信へと大きく転換しました。Jリーグの放映権収入は年間約208億円(2024年度予算)に達し、リーグ事業収入の約7割を占める重要な財源となっています。

また、クラブへの配分金にはDAZNでの視聴者数やシーズンパス販売実績などを反映する仕組みも導入され、デジタル時代を意識した運営が進められています。一方で、配信サービスの料金改定や視聴環境への依存といった課題も生じており、Jリーグは放送から配信へと移行した日本のスポーツビジネスを象徴する存在となっています。

DAZNがもたらしたもの

DAZNがJリーグに約2000億円を投じると発表した当時、その衝撃は非常に大きなものでした。あれから10年が経ちましたが、クラブ経営やリーグの価値向上など、Jリーグという組織にどのような影響を与えたのかについては、まだ結論を出すには早いでしょう。

一方で、視聴環境が大きく変わったことは間違いありません。サービス開始当初は放送波に比べて不安定でしたが、今では大きく改善されたのはもちろん、放送波では限られていたリアルタイム視聴できる試合が増えたことで、注目の試合だけでなくさまざまな試合を楽しめるようになりました。

その中で、あえてデメリットを挙げるとすれば、「録画」ができないことでしょうか。放送波なら、録画しておけば何年後でも「あの試合」を見返すことができました。しかし配信は契約や配信権が終了すると、記憶に残る名勝負であっても視聴できなくなってしまいます。

10年後の未来

DAZNの登場は、サッカーファンにこれまでにない視聴環境をもたらしました。J1だけでなくJ2やJ3を含め、これまで中継される機会の少なかった試合まで、好きな時間に楽しめるようになったことは、スカパー!時代には考えられませんでした。

その一方で、スカパー!時代には当たり前だった「録画して手元に残す」という楽しみは、少しずつ姿を消しました。今では数え切れないほどの試合を視聴できる一方、契約や配信権の終了によって、あの試合をもう一度見返したくても叶わないことがあります。

多くの試合を見られる自由と、限られた試合でも自分だけのライブラリーとして残せる自由。そのバランスは、これからも少しずつ前者へと傾いていくようにみえます。