「米情報機関の機密暴露、映画化で議論再燃」「スノーデン氏、映画に本人役で出演へ」

2016年09月13日の報道概要

 米中央情報局(CIA)や米国家安全保障局(NSA)で勤務したエドワード・スノーデン氏による機密情報の暴露事件を題材にした映画「スノーデン」が、9月16日に米国で公開される。オリバー・ストーン監督が手がけ、俳優のジョセフ・ゴードン=レヴィットがスノーデン氏を演じる。スノーデン氏本人もロシアから撮影に参加し、本人役で出演する。

 映画は、スノーデン氏が米政府による大規模な情報収集の実態を知り、機密情報を持ち出して公表するまでの経緯を描く。2013年の暴露以降、スノーデン氏を英雄と見るか、機密を漏らした人物と見るかをめぐる議論が続いており、映画化をきっかけに監視と個人のプライバシーをめぐる問題が改めて注目されていた。

2016年09月当時の背景

 エドワード・スノーデン氏は、米中央情報局(CIA)や米国家安全保障局(NSA)で働いていた人物です。2013年、米政府が電話やインターネット上の通信を大規模に収集していることを示す機密情報を持ち出し、報道機関を通じて公表しました。個人のメールや通話などが、本人の知らないところで政府による情報収集の対象になっていたことが明らかになり、世界的な議論を呼びました。

 スノーデン氏は米国を離れ、ロシアに滞在することになりました。米国政府は機密情報の持ち出しなどを理由に同氏を訴追し、帰国すれば逮捕される状況が続いていました。一方で、政府による監視の実態を明らかにした人物として、スノーデン氏を評価する声もありました。映画「スノーデン」は、こうした経緯を改めて描く作品として公開を控えていました。

2026年現在の状況

 映画「スノーデン」は2016年9月に公開され、世界興行収入は約3730万ドルでした。製作費は約4000万ドルで、興行面では大きな成功とはなりませんでしたが、スノーデン事件や政府による監視を題材として、その問題を改めて扱う作品となりました。

 スノーデン氏自身はその後もロシアで暮らしており、2020年に永住権を取得、2022年にはロシア国籍を取得しました。米国への帰国は実現しておらず、機密情報の持ち出しをめぐる米国での訴追問題も残っています。

一方で、2020年には米国の控訴裁判所が、スノーデン氏が暴露したNSAの電話記録大量収集について、違法だったとの判断を示しました。

情報収集は秘密から公然の秘密へ

スノーデン氏は、自由や個人の権利を重んじる法治国家であるアメリカが、国家安全保障を理由に国民の電話やインターネットに関する情報を大規模に収集していたことを明らかにしました。さらに、同盟国であるドイツのメルケル首相の携帯電話も監視対象となっていたこともわかり、米国と同盟国との信頼関係も揺らぎました。

 それでも、アメリカという国家の情報収集の仕組みそのものを大きく変えるまでには至りませんでした。アメリカ国内でも政府による監視への懸念が広がる一方、テロ対策のためには一定の情報収集が必要だという意見も強く、スノーデン氏自身への評価も分かれています。また、ドイツなどの同盟国の反発もありましたが、アメリカとの安全保障上の協力を無視することはできず、関係を大きく変えるまでには至りませんでした。

 こうして議論は、「安全のためにどこまで監視を認めるか」という線引きの問題へと移ってゆき、制度の一部には修正が加えられたものの、情報機関の役割そのものは残りました。これまでは秘密裏に行われていた情報収集が、ある意味では「公然の秘密」ともいえる存在になった時でもあります。

10年後の未来

 ロシアによるウクライナ侵攻では、米国の情報機関が事前にロシア軍の動きをかなり具体的に把握・警告していたことも明らかになっています。戦争そのものを防ぐことにはつながりませんでしたが、情報機関としての役割は十分果たしたと言えます。

強権主義国家のように、集めた情報を使って国民を不当に監視したり、弾圧したりするのでなければ、国が一定の情報を集めることに理解を示す人も多いでしょう。

そして日本でも、2026年7月31日、国家情報局が発足しました。これから日本の情報機関がどのような役割を担い、どこまで情報を集めるのか。その答えは、これから10年の中で形づくられていくはずです。

もしかすると、人が嫌がるのは、国が情報を集めていることそのものではなく、その存在を自分の日常の中で感じてしまうことなのかもしれません。忍者は姿を見せないから忍者なのに、どこからか体臭が漂ってきたら、少し気になってしまうように。