「カカクコム株急落 『食べログ』評価操作? ネットで批判広がる」「食べログ点数操作を否定 カカクコム『予約利用とは無関係』」
2016年09月07日の報道概要
飲食店の口コミサイト「食べログ」をめぐり、店舗の評価点が相次いで3.0点になったとの指摘がインターネット上で広がり、運営会社のカカクコム株が急落している。
発端は6日、飲食店経営者がツイッターで、運営する店舗の食べログの点数が相次いで3.0点にリセットされ、同時期に営業担当者から「ネット予約を使ってもらわないと検索の優先順位を落とす」と伝えられたと投稿したことだ。投稿はネット上で急速に拡散し、食べログ側が有料サービスの利用状況に応じて評価や検索順位を操作しているのではないかとの批判が広がっている。
カカクコムは7日、食べログの点数とランキングについて、ネット予約機能を利用するかどうかとは一切関係なく、利用者の評価を基礎に算出していると説明した。一方、ネット予約が可能な店舗を検索結果の広告枠で優先表示する仕組みを10月から導入すると発表している。
この問題を受け、カカクコム株は7日の取引時間中に一時1555円まで下落し、年初来安値を更新した。終値は前日比85円安の1656円となっている。
2016年09月当時の背景
2016年当時、食べログは飲食店選びに大きな影響を与えるサービスへと成長していました。9月時点で掲載店舗は約84万軒、口コミ投稿数は約1450万件、月間利用者数は7265万人に達しています。口コミの点数は単純な平均ではなく、投稿した利用者ごとの影響度などを考慮して算出されていました。
一方、食べログは店舗側から広告や予約などの収益を得る事業でもあります。2016年8月には月間のオンライン予約が55万7000人と過去最高を記録しており、カカクコムは9月7日、ネット予約可能な店舗を検索結果の広告枠で優先表示する仕組みを10月から導入すると発表しました。
つまり当時は、「利用者が付ける評価」と「店舗がお金を払って利用するサービス」が同じサイトの中に存在していました。点数そのものは広告利用と無関係だと説明されても、店舗側から見れば検索での露出と営業上の契約が結び付いて見えやすい環境だったといえます。また2012年には口コミ投稿を請け負う業者による、いわゆるステマ問題も発覚しており、食べログの評価の公平性には以前から注目が集まっていました。
2026年現在の状況
2026年現在、食べログは2016年当時よりもはるかに大きなサービスになっています。2026年9月時点で掲載店舗数は約90万店、口コミ投稿数は約9605万件。月間利用者数は9708万人で、2026年3月の月間総PVは約24億5971万PVに達しています。
点数については現在も、利用者の口コミや評価をもとに算出される仕組みです。ただし、算出方法の詳細は公開されていません。不正な口コミ投稿などによって点数が意図的に操作されることを防ぐため、算出方法を定期的に見直していると説明しています。また、飲食店関係者や食べログ運営関係者などについては、点数への影響度を付与しない仕組みも設けています。
さらに現在は、点数を単なるランキングとしてではなく、「お店選びの参考となる情報の一つ」と位置付けています。2026年には「百名店」などの評価企画も継続しており、口コミ・点数・店舗情報・ネット予約を組み合わせたレストラン検索・予約サービスへと事業領域を広げています。
評価は透明にすると、攻略される
評価の仕組みには、透明性と公平性を同時に高めることの難しさがあります。評価方法を詳しく公開すれば、評価を見る利用者や、評価される店舗側は結果を理解しやすくなります。一方で、評価を上げるための条件まで明らかになれば、その条件に合わせて行動する「攻略」が可能になります。そのため、評価を適切に機能させるには、あえて公開しない部分を残す必要もあります。
しかし、非公開にすれば別の問題が生まれます。「運営側の都合で評価を操作しているのではないか」という疑念を持たれやすくなるからです。食べログの問題は、この矛盾を象徴しています。
これは口コミサイトに限った話ではありません。格付け会社、検索順位、大学ランキング、信用評価など、「誰かを評価して順位や点数を付ける仕組み」には共通する問題です。評価の公平性を守るには、すべてを公開することでも、すべてを隠すことでもなく、どこまで公開し、どこを非公開にするのかという設計そのものが問われます。
10年後の未来
ある店が信用できるのかどうか、その店を評価した人を信用し、その評価方法を設計した食べログを信用する。信頼をたどっていくと、まるでドミノのように、次から次へと「この人は信用できるのか?」という話になっていきます。
2016年の食べログのニュースも、評価基準を完全にオープンにすれば不正に利用される可能性があり、かといって非公開にすれば利用者から完全には信頼されにくいという、評価サービスが抱える構造的な問題だったとも考えられます。これは食べログだけの問題ではなく、誰かを評価する仕組みなら、多かれ少なかれ避けにくい問題なのかもしれません。
一方で、その情報を見て「ここに行ってみよう」と決めるのは自分です。店を信用することから始まった話が、評価する人、評価の仕組みへと進み、自分の判断に戻ってくる。信頼のドミノを倒していった先の最後の一枚は、「評価の仕組みはどうあるべきか」ではなく、「自分はこの情報を信じて決めるのか」ということなのかもしれません。
