「夏の路面温度を10度下げる? 遮熱性舗装の導入進む 都市の暑さ対策に期待」「アスファルトの熱を跳ね返せ 遮熱性舗装によるヒートアイランド対策が本格化」

2016年7月13日の報道概要

 都市部の気温上昇を招くヒートアイランド現象の対策として、路面温度の上昇を抑える「遮熱性舗装」の導入が各地で進んでいる。太陽光を反射する特殊な塗料や舗装材を使用することで、夏場のアスファルトの表面温度を低減し、歩行環境の改善や都市全体の暑さの緩和につなげる狙いだ。

 アスファルト舗装は日中に強い日差しを吸収し、夜間も熱を放出し続けるため、都市部の気温を押し上げる一因とされている。このため、主要な交差点や歩道などでは遮熱性舗装の実証実験が相次いで実施され、効果や耐久性の検証が進められている。

 近年は猛暑日が増加傾向にあり、熱中症対策や快適な都市空間の整備は重要な課題となっている。自治体や道路管理者は、街路樹の整備や保水性舗装などとあわせて遮熱性舗装の活用を進めており、都市環境を改善する新たなインフラ技術として期待が高まっている。

2016年7月当時の背景

2016年当時、都市部では猛暑日が続き、熱中症による救急搬送者が相次ぐなど、夏の暑さは深刻な社会問題となっていました。特に東京都心ではヒートアイランド現象の影響で夜間も気温が下がりにくく、暑さ対策は行政の重要課題となっていました。

2020年東京オリンピック・パラリンピックを控え、競技会場周辺や主要道路では暑さ対策が本格化し、その一つとして遮熱性舗装の導入や実証実験が各地で進められました。遮熱性舗装は、太陽光を反射することで真夏の日中の路面温度を通常の舗装より10~15℃程度低減できるとされ、歩行環境の改善やヒートアイランド現象の緩和が期待されていました。

2026年現在の状況

2026年現在、遮熱性舗装は実証実験の段階を経て、都市部の暑さ対策の一つとして各地で導入が進んでいます。東京都では都道を中心に整備が進められ、2025年度末までの累計施工延長は約203kmに達しました。遮熱性舗装は、太陽光を反射することで路面温度を最大約8℃低減できるとされ、保水性舗装とともにヒートアイランド対策の柱となっています。

一方で、遮熱性舗装だけで都市の暑さを解決できるわけではなく、街路樹の整備や日陰の確保、ミスト散布、建物の断熱化などを組み合わせた総合的な暑熱対策が重視されるようになりました。さらに近年は、道路分野でも脱炭素化の取り組みが進み、遮熱性舗装は都市の快適性向上だけでなく、環境負荷の低減を支えるインフラ技術の一つとして位置付けられています。

「冷やす」ではなく「熱くなりにくくする」という地道な取り組み

近年は、日本各地で40℃に迫る、あるいは40℃を超える暑さが珍しくなくなり、気象庁も35℃以上の「猛暑日」に続く40℃以上の日を表す新たな名称を公募するなど、かつてとは暑さの前提そのものが変わりつつあります。

もし道路は黒いアスファルトのままでよいという考えが続いていたなら、こうした猛暑の中で路面温度はさらに上昇し、歩行環境や都市の熱環境は今以上に厳しいものになっていた可能性があります。

もちろん、遮熱性舗装だけでヒートアイランド現象を解決できるわけではありません。街路樹や保水性舗装、建物の断熱化など、さまざまな対策を組み合わせて初めて効果を発揮します。それでも、「暑くなった都市を冷やす」のではなく、「都市そのものを暑くなりにくくする」という将来を見据えた発想は、その後の都市政策にも受け継がれています。目立つ技術ではありませんが、猛暑が当たり前になった今だからこそ、その価値を改めて見直すべきインフラの一つと言えるでしょう。

10年後の未来

問題が起きてから対応することは、誰にでも分かりやすいものです。猛暑になればエアコンをつける。熱中症が増えればミストを設置する。こうした対策は、目の前の課題を解決するために欠かせません。

一方で、遮熱性舗装は少し違う発想です。まだ目の前にない未来を想像し、「このままでは都市はもっと暑くなる」と考えたからこそ生まれた技術でした。暑くなってから冷やすのではなく、暑くなりにくい街へと体質そのものを変えようとする発想です。

私たちの社会には、ヒートアイランド現象以外にも、人口減少やインフラの老朽化、災害への備えなど、「いつか起こる」と分かっている課題が数多くあります。

目の前の出来事に対応することも大切です。しかし、本当に未来を変えるのは、その先を想像し、まだ起きていない問題に今から手を打つことなのかもしれません。