「飲むだけで体脂肪が減る、特定保健用食品( トクホ飲料)が空前の売れ行き」「健康食品市場拡大『トクホ』から機能性表示へ転換進む」

2016年7月12日の報道概要

 特定保健用食品(トクホ)の市場拡大が続いている。お茶や菓子、調味料など幅広い商品が店頭に並び、「脂肪の吸収を抑える」「血圧が高めの人に適する」といった機能をうたう商品は消費者の支持を集める。

 背景にあるのは健康志向の高まりだ。生活習慣病への関心が高まる一方、忙しい毎日の中で食生活を大きく見直すのは容易ではない。普段の食事に取り入れやすいトクホは、その手軽さから市場を押し上げる存在となっている。

 メーカー各社も競争を激化させる。科学的根拠を示した広告や新商品の投入が相次ぎ、機能性を前面に打ち出した販売戦略が定着しつつある。

 もっとも、専門家は「特定保健用食品は健康的な食生活を補うものであり、それだけで健康が保たれるわけではない」と注意を促す。健康への不安が新たな需要を生む一方で、消費者には商品の役割を正しく理解する姿勢も求められそうだ。

2016年7月当時の背景

2016年は、高齢化の進展や生活習慣病への関心の高まりを背景に、「病気になる前に予防したい」という健康志向が広がっていました。脂肪の吸収を抑える茶飲料や血圧が高めの人向け飲料、整腸作用をうたうヨーグルトなど、健康機能を訴求した商品が人気を集め、市場は拡大を続けていました。

また、2015年には企業の責任で機能性を表示できる「機能性表示食品」制度が始まり、健康食品市場の競争はさらに活発化しました。一方で、健康効果への過度な期待や広告表現への懸念も高まり、制度や表示の在り方が課題として議論されるようになっていました。

2026年現在の状況

2026年現在、健康機能を訴求する食品市場は拡大を続けていますが、その主役はトクホから「機能性表示食品」へと移りつつあります。トクホは国の審査を受ける制度である一方、機能性表示食品は企業の責任で科学的根拠を示して届け出る仕組みのため、商品の種類は大幅に増加しました。睡眠の質の改善やストレス軽減、記憶力維持など、従来のトクホには少なかった機能をうたう商品も数多く販売されています。

一方で、2024年に発生した小林製薬の紅麹関連製品による健康被害は、健康食品制度への信頼を大きく揺るがしました。この問題を受け、機能性表示食品の届出や品質管理、健康被害報告のルールは見直され、制度の信頼性向上に向けた対応が進められています。現在では「健康に良い」と表示されているだけで商品を選ぶのではなく、科学的根拠や制度の違いを理解した上で利用することの重要性が、以前にも増して求められています。

健康食品ブームの主役の変遷

2016年当時、健康食品売り場ではトクホ飲料が存在感を放っていました。しかし、振り返ってみると、健康ブームの主役は時代とともに何度も入れ替わっています。
1990年代にはファイブミニや青汁、ウコン、黒酢が話題となりました。
2000年代にはLG21やカスピ海ヨーグルト、コエンザイムQ10、海洋深層水が注目を集めました。
2010年代はヘルシア緑茶、黒烏龍茶といったトクホ飲料に加え、水素水やココナッツオイル、コラーゲンなどが相次いで人気となります。
そして2020年代には、腸活、オートミール、プロテイン、睡眠改善サプリ、完全栄養食などへと関心が移り、健康を意識した商品の選択肢はさらに広がりました。

普段、どんな健康食品を摂取しているかを知れば、その人の年代が分かりそうなくらいですね。

10年後の未来

健康ブームは、不思議なくらい同じことを繰り返しています。青汁、カスピ海ヨーグルト、LG21、ヘルシア、水素水、腸活……。その時代ごとに「これが健康にいい」と注目されるものが現れ、人々の関心を集めます。そして、しばらくすると次の主役へと入れ替わっていきます。

今は名前すら知られていない食品や成分が、数年後にはテレビやSNSで毎日のように取り上げられ、スーパーの売り場を埋め尽くしているかもしれません。

もしかすると将来、「休日は火山へ出かけよう」と、パワースポットがマイナスイオンからプラスイオンへ変わっている可能性だってあります。今なら冗談に聞こえる話ですが、過去を振り返れば、海の底の水である「海洋深層水」が一大ブームになった時代もありました。

10年後には、2026年の健康ブームもまた、「あの頃はそんなものが流行っていたね」と懐かしく振り返られているのかもしれません。