「ツイッター、テロ助長アカウント23万件を追加削除」「テロ関連アカウント、半年で23万5000件停止」
2016年9月2日の報道概要
米ツイッターは、2016年2月からの半年間に、テロ行為を助長したり、暴力を脅したりする内容を投稿したとして、23万5000件のアカウントを停止したと発表した。2015年半ばからの累計では36万件に達した。
同社によると、テロ関連アカウントの1日当たりの停止件数は前年に比べ8割以上増加。利用者からの通報に加え、独自の技術を使って問題のあるアカウントを発見する取り組みも強化している。
過激派組織「イスラム国(IS)」などがツイッターを宣伝や勧誘に利用していることが問題となる中、同社は投稿の自由を尊重しながら、テロや暴力を助長する利用をどう防ぐかという難しい対応を迫られている。Twitter自身も「テロ関連の投稿を見つける万能なアルゴリズムはない」と説明していた。
2016年9月当時の背景
2010年代半ば、SNSは単なる交流の場から、テロ組織にとっても情報発信や勧誘の場へと変化していました。特にISは、ツイッターなどを利用して宣伝映像や思想を広め、世界各地から支持者を集めていました。
ツイッターは2015年半ばからテロ行為の助長などに対する取り締まりを強化し、2016年2月までに12万5000件以上のアカウントを停止していました。さらに今回の半年間で23万5000件を追加し、停止のペースは前年より8割以上増加しています。
一方で、SNS上の発言をどこまで企業が監視し、削除してよいのかという問題もありました。テロ対策を強化すれば「言論の自由」との境界が問題になり、放置すれば犯罪や暴力を助長しかねません。SNS企業は、これまで経験したことのない「自由と安全の線引き」を迫られていました。
2026年現在の状況
ツイッターはその後、イーロン・マスク氏による買収を経て2023年に「X」へ名称を変更しました。投稿内容を監視・削除する仕組みも大きく変わりましたが、テロや暴力的過激主義を禁止するルール自体は現在も存在します。Xは現在も、機械による検出と人による確認を組み合わせて問題のあるアカウントを取り締まっています。
2024年下半期のXの透明性報告では、暴力的・憎悪的な組織に関する規則違反で3万8224件のアカウントを停止。そのうち3万3178件は自動的な仕組みによって検出され、人による対応は5046件でした。
一方、2016年当時と大きく変わったのは、SNSを巡る議論が「テロ対策」だけではなく、偽情報、ヘイトスピーチ、選挙への介入などまで広がったことです。Xは現在、透明性報告の中で、ルール違反への対応だけでなく、政府からの情報開示要求や投稿削除要求なども公表しています。
現職大統領まで締め出した巨大SNS
2016年、「テロを助長する」として23万件以上のアカウントが削除されたと聞いても、多くの人は「まあ、テロリストなら仕方ない」と思ったかもしれません。ところが、それから数年後には、まさか現職のアメリカ大統領のアカウントまで停止されることになります。
2021年、議会襲撃事件を受けて、Twitterはトランプ大統領のアカウントを停止しました。自由に主張を発信する場だったSNSが、ついには大統領の発信そのものを止める。これは、2016年の「テロ対策」の延長線上で起きた、かなり衝撃的な変化でした。
ここで、SNSの立場が大きく変わります。SNSは単なる「みんなが自由に話す場所」ではなくなり、誰に発言させ、誰の発言を止めるのかを判断する「管理者」になったのです。
2016年に始まったのは、危険なアカウントを消す話でした。それが数年後には、世界一の権力を持つアメリカ大統領でさえ、その場所から締め出される。SNSが持つ力の大きさを、今度はまったく逆の方向から思い知らされることになりました。
10年後の未来
トランプ氏はTwitterから締め出された後、Truth SocialというSNSを立ち上げ、別の場所につながりを作ることができました。でも、そんなことができる人はほとんどいません。もし普段使っているSNSから突然締め出されたら、普通の人はどうやって人間関係を再構築するのでしょうか。
SNSは、多くの人が利用しているからこそ、誰とでも簡単につながれる場所になりましたが、逆に言えば、そこから排除されたときには、多くの人とのつながりを一度に失う可能性があります。
企業ごとに利用規約があり、何を違反とするか、その基準も違います。昨日まで普通に使えていたアカウントが突然凍結され、「えっ、なんで?」となることもある。しかも、具体的な理由がよく分からず、どうすれば復旧できるのかも分からない。
犯罪を匂わす言葉はもちろん、性別や色を表現する言葉遣いにも慎重になっている人もいるでしょう。自由でありながら、追い出されないか心配する。なかなかややこしい世界です。
