「JR東、品川新駅の概要公表 20年春に暫定開業へ」「山手線・京浜東北線に新駅 隈研吾氏デザイン、折り紙をモチーフに」
2016年9月6日の報道概要
JR東日本は6日、田町駅と品川駅の間に建設する「品川新駅」(仮称)の概要を発表した。新駅は品川車両基地跡地に設置し、山手線と京浜東北線が乗り入れる。田町駅から約1.3キロ、品川駅から約0.9キロの位置に設け、2020年春の暫定開業、2024年ごろの本開業を予定している。
駅舎は地上3階、地下1階、高さ約30メートル、総床面積約7600平方メートルを計画する。建築家の隈研吾氏をデザインアーキテクトに起用し、折り紙をモチーフにした大屋根や、障子をイメージした膜や木の素材を取り入れる。コンコースには約1000平方メートルの吹き抜けを設け、駅と街が一体となる空間を目指す。
新駅は、品川車両基地跡地を活用する「品川開発プロジェクト」の中核施設として位置付けられている。JR東日本は「グローバルゲートウェイ品川」を掲げ、世界から企業や人材が集まり、新たなビジネスや文化が生まれる国際交流拠点の形成を目指している。
2016年9月当時の背景
2016年当時、東京では2020年の東京五輪を控え、都心各地で大規模な再開発が進んでいました。品川周辺もその一つで、JR東日本は品川車両基地跡地を活用し、駅だけでなく、その周辺に新しい街をつくる構想を進めていました。計画区域は約7万2000平方メートルに及び、品川と田町の間に広がる大規模な土地の再開発でした。
新駅そのものも大きな意味を持っていました。山手線では1971年に開業した西日暮里駅以来となる新駅で、約49年ぶりの新設駅となる計画でした。さらに、隈研吾氏による特徴的な駅舎デザインも発表され、「駅を新しく造る」というだけでなく、新しい街の顔をつくる計画として注目されました。
当時の構想では、2020年春に駅を先行して開業させ、その後、2024年ごろの街びらきに合わせて本格開業する予定でした。つまり、駅が先にでき、その周囲に後から街が育っていくという、通常の駅とは少し違った開発が始まろうとしていました。
2026年現在の状況
「品川新駅」は2018年に駅名が「高輪ゲートウェイ」に決まり、2020年3月14日に開業しました。当初予定されていた2020年春の暫定開業は実現し、山手線・京浜東北線の新駅として営業を開始しています。山手線では30番目の駅となり、西日暮里駅以来、約49年ぶりの新駅となりました。
一方、2016年に「2024年ごろ」とされていた駅周辺の街づくりは、その後も続きました。2025年3月には「TAKANAWA GATEWAY CITY」のまちびらきが行われ、2026年3月28日にはグランドオープン。ホテル、商業施設、オフィス、イベントスペースなどを備えた大規模な街へと発展しています。
2026年現在、JR東日本は高輪ゲートウェイ駅を単独の駅としてではなく、周辺地域を含む「広域品川圏」のまちづくりの核として位置付けています。2016年に発表された「新駅」は、10年をかけて「新しい街の玄関口」へと姿を変えました。
山手線で唯一、カタカナを用いた駅名
ところで、新駅をめぐっては、駅そのものよりもむしろその名称が、開業前から話題になりました。「新宿」「渋谷」「池袋」「東京」など、山手線の駅名は、基本的に地名をそのまま使ったものです。その中で「高輪ゲートウェイ」は、山手線の全駅名で唯一、漢字とカタカナが組み合わされた駅名。単独で見れば普通の名前でも、並べてみるとまるで駅名界のキラキラネームのような違和感がありました。しかも駅名公募では「高輪」が圧倒的な1位でした。それでもJR東日本は、高輪地区を国際交流の拠点、新しい街の玄関口として発展させる構想を背景に、「高輪ゲートウェイ」を採用しました。
他とは違う特徴的な名前は、覚えやすさや話題性といったメリットがある一方で、違和感や反発を招くデメリットもあるようにもみえますが、実際にはどうなのでしょうか。これは南アルプス市民に聞くのが一番いいかもしれません。
10年後の未来
名前を付けること、あるいは名前を変えることは、ある意味で未来予測です。命名者は「こういう存在になってほしい」「こういう場所として認識してほしい」という思いを、名前に込めます。
ところが、その名前が命名者の意図どおりに社会へ浸透するとは限りません。Twitterが「X」に変わっても、「旧Twitter」と呼ばれたりするのも、その一例です。サッカーでは「ロスタイム」が「アディショナルタイム」に変わっても、あの本田圭佑でさえ「ロスタイム」と呼ぶことがあります。かつて警視庁が「振り込め詐欺」に代わる名称として公募した「母さん助けて詐欺」も定着せず、現在も「振り込め詐欺」という呼び方が一般的です。
一方で、名前を変えたことが、商品のイメージや売れ方を大きく変えた例もあります。「缶入り煎茶」から「お〜いお茶」へ、「モイスチャーティシュ」から「鼻セレブ」へ。中身そのものを大きく変えなくても、名前が変わることで、商品が人々により浸透しました。
10年後、「高輪ゲートウェイ」は、命名者が思い描いた未来を実現しているのでしょうか。それとも、いつになっても「高輪でいいじゃん」と言われているのでしょうか。名前をめぐる答え合わせには、今年新たに「アメリカ湖」と改称されたオンタリオ湖というサンプルも加わりました。
