「飲料大手、バイオプラスチック容器の試験導入へ 脱石油の第一歩」「コストと環境負荷の間で メーカーが模索する次世代容器の行方」

2016年7月8日の報道概要

飲料メーカー各社が、石油由来のプラスチックに代わる素材として、トウモロコシなどの植物を原料としたバイオプラスチック製容器の導入に向けた取り組みを進めている。地球温暖化対策や資源の有効活用への関心が高まる中、環境負荷の少ない容器への転換を目指す動きとして注目されている。

バイオプラスチックは、化石資源への依存を減らし、二酸化炭素排出量の削減にもつながると期待される一方、製造コストの高さや原材料の安定確保など課題も多い。このため、各社は試験導入や実証を重ねながら、実用化に向けた検討を進めている。

環境への配慮を重視する消費者意識の高まりを背景に、企業では持続可能な社会の実現に向けた取り組みが広がっており、容器素材の見直しもその一環として今後の動向が注目されそうだ。

2016年7月当時の背景

2016年当時は、地球温暖化対策や資源の有効活用への関心が世界的に高まり、企業にも環境負荷の低減を求める動きが強まっていました。前年にはパリ協定が採択され、温室効果ガスの削減に向けた取り組みが国際的な課題となったことも、企業の環境対応を後押ししました。

飲料業界では、植物由来原料を一部使用したボトルの実用化が進み、海外ではThe Coca-Cola Companyが植物由来素材を活用した「PlantBottle」の開発を進めるなど、容器の環境性能を競う動きも広がっていました。 一方で、バイオプラスチックは製造コストや原料調達、安定供給といった課題も多く、従来のプラスチックをすぐに置き換えるには現実的なハードルがありました。環境への配慮と事業性をどう両立させるかが、企業にとって大きなテーマとなっていた時期でした。

2026年現在の状況

2026年現在、飲料業界では環境負荷の低減に向けた容器開発が大きく進みました。しかし、2016年に期待されていた植物由来のバイオプラスチックが主流となったわけではなく、多くの企業は使用済みペットボトルを新たなボトルへ再生する「ボトルtoボトル」リサイクルや、100%リサイクルPETボトルの導入、ラベルレスボトルの拡大などに力を入れています。

日本のコカ・コーラシステムでも100%リサイクルPETボトルの採用やラベルレス製品の拡充を進めており、資源循環を重視した取り組みが中心となっています。 一方で、植物由来素材についても研究開発は続けられていますが、製造コストや原料調達、リサイクルとの両立などの課題から、本格的な普及には至っていません。現在は、新素材への置き換えだけでなく、既存資源を循環利用することが環境対策の主流となっています。

バイオプラスティックによって何を解決したいのか

バイオプラスチックには、「植物を原料とするもの」「微生物などによって分解されやすいもの」という異なる性質があり、この二つは必ずしも一致しません。

つまり、植物由来でも分解しにくいものがあれば、石油由来でも分解するものも存在します。そのため「バイオプラスチック」という言葉だけでは、どの問題に対する解決策なのかわかりません。

石油資源への依存を減らしたいのであれば植物由来素材、海洋ごみの問題を解決したいのであれば生分解性素材、温室効果ガスを減らしたいのであれば製造方法やリサイクルの仕組みが重要になります。

本来、問題によって解決策は異なるはずですが、「プラスチック=悪」という単純な構図で語られると、何を解決したいのかという本来の目的が見えなくなってしまいます。

10年後の未来

2016年当時、国や企業、メディアはSDGsという新たな価値観を積極的に発信し、環境への配慮は企業活動や消費行動の重要な指標となり始めていました。しかし、環境に関する項目を改めて見返すと、その目指す姿は必ずしも「未来」だけを向いているわけではありません。

「長く使う」「修理して使う」「資源を循環させる」「必要以上に消費しない」といった考え方は、高度経済成長以前には当たり前だった暮らしにも通じています。大量生産・大量消費こそが豊かさの象徴とされた時代を経て、社会は再び循環を重視する価値観へと舵を切り始めました。

未来とは、まったく新しい社会を築くことではなく、一度手放した知恵を現代の技術で取り戻すことなのかもしれません。価値観は直線ではなく、輪廻転生するように巡っているようにも見えます。