「『最期の別れをどう彩るか』 葬儀ビジネスにも変革の波」「葬儀の簡素化が進む 『直葬』や『家族葬』が主流に」

2016年7月9日の報道概要

 葬儀の小規模化が進んでいる。大手葬儀会社などが実施した調査では、家族や親しい知人だけで故人を見送る「家族葬」や、通夜や告別式を行わず火葬のみとする「直葬」を選ぶ人が増加していることが分かった。

背景には、核家族化や地域社会とのつながりの変化に加え、葬儀費用を抑えたいという意識の高まりがある。また、「身近な人だけで静かに見送りたい」と考える人も増えており、従来のような大規模な葬儀を見直す動きが広がっている。

葬儀各社は、少人数向けの葬儀プランや簡素な式の充実を進める一方、寺院との関わりや儀式の簡略化を懸念する声もある。葬儀の形式は多様化が進み、故人や遺族の意向を重視した新たな見送り方が広がりつつある。

2016年7月の背景

2016年当時、日本では年間死亡者数が約130万人に達し、「多死社会」の到来が現実味を帯び始めていました。一方で、核家族化や地域社会とのつながりの希薄化により、近隣住民や会社関係者を広く招く従来型の葬儀は減少傾向にありました。「終活」という言葉も一般に浸透し始め、自ら葬儀や墓、相続について生前に準備する人が増加。「自分らしい最期」を考えることが社会的なテーマとなっていました。

また、一般葬では100万~200万円程度かかるケースも珍しくなく、費用負担への関心も高まっていました。こうした中、葬儀社各社はホームページで料金プランを公開し、家族葬や直葬など少人数向けプランを充実させるなど、葬儀は従来の慣習に従うものから、価格や内容を比較して選ぶ「サービス」へと少しずつ姿を変え始めていました。

2026年現在の状況

2026年現在では、家族葬は日本の葬儀の主流となっています。全国調査では、実施された葬儀の47.0%が家族葬で最も多く、一般葬は30.2%、一日葬は11.9%、直葬・火葬式は10.8%となりました。葬儀の小規模化は一時的な流行ではなく、定着した葬送文化となっています。

背景には、年間死亡者数が2024年に約161万人と過去最多を更新するなど、多死社会の本格化があります。家族構成や価値観の変化に加え、費用や負担を抑えたいというニーズも高まっており、葬儀会社各社は家族葬や一日葬、直葬など多様なプランを提供しています。一方で、料金体系の複雑さから葬儀サービスに関する相談は年間約900件寄せられており、価格表示と実際の請求額の違いなどをめぐるトラブルも課題となっています。現在の葬儀は、「どの形式で送るか」を比較・選択するサービスへと変化し、形式よりも故人や遺族の意思を重視する流れが定着しつつあります。

私的な「ホウ・レン・ソウ」の配送エリア

葬儀の小規模化は、葬儀だけに見られる変化ではありません。例えば結婚式では仲人を立てた披露宴や大人数の招待客が減り、家族婚や少人数婚が広がり、年賀状もSNSやメッセージアプリへと置き換わりました。

昔は、親戚や近所、職場など幅広い人間関係に知らせ、冠婚葬祭のような催事で集まることが一般的でした。しかし今は、呼ぶ側と呼ばれる側双方の負担を考慮し、誰に知らせ、誰を呼ぶか、その境界線が見直されつつあるようです。

この、私的な「ホウ・レン・ソウ」の変化は、人間関係を楽にしたのか、それとも薄くしたのか。その答えは人それぞれですが、人生の節目を迎える方法が変わり始めていることだけは確かなようです。

10年後の未来

人生には、結婚、子どもの誕生、生涯の別れのような大きな節目もあれば、小さな節目もあります。誕生日や入学、卒業、引っ越し、合格。これまで私たちは、その節目ごとに「誰に知らせるか」「誰と迎えるか」を自然と選んできました。

しかし、その境界線は少しずつ変わり始めています。SNSで報告する人もいれば、あえて誰にも知らせない人もいる。大人数を集める人もいれば、家族だけで静かに過ごす人もいる。

葬儀の小規模化も、その流れの一つなのかもしれません。これから先、人生の節目の過ごし方はさらに多様になっていくでしょう。誰に伝え、誰と分かち合うのか。その境界線は、これからも少しずつ変わり続けていくのかもしれません。