「太陽系に最も近い恒星に地球型惑星 『プロキシマb』発見」「4光年先に『第二の地球』候補 液体の水が存在する可能性」
2016年08月29日の報道概要
太陽系から約4.2光年離れた恒星プロキシマ・ケンタウリの周囲に、地球に似た岩石惑星「プロキシマb」が存在することが分かった。国際研究チームが25日付の英科学誌ネイチャーで発表した。
プロキシマbは地球の約1.3倍の質量を持ち、約11.2日で恒星の周囲を1周する。恒星からの距離は太陽と地球の距離の約5%にすぎないが、プロキシマ・ケンタウリが太陽よりはるかに暗い赤色矮星であるため、液体の水が存在できる可能性のある「ハビタブルゾーン」に位置する。
ただし、実際に水や大気が存在するか、生命が存在できる環境なのかは分かっていない。恒星から強いX線や紫外線を受けるため、地球とは大きく異なる環境である可能性も指摘されている。研究チームは今後、次世代の大型望遠鏡などを使って詳しく観測する方針だ。
2016年08月当時の背景
太陽系の外にある惑星、いわゆる系外惑星の探索は、1990年代以降に急速に進んでいました。特に2009年に打ち上げられた米航空宇宙局(NASA)のケプラー宇宙望遠鏡などによって、多数の系外惑星が見つかり、「地球に似た惑星は珍しいのか」という問いが現実の観測対象になっていました。
その中でもプロキシマbが注目されたのは、単に地球型惑星だったからではありません。地球から約4.2光年と、既知の系外惑星の中で圧倒的に近い場所にあることが大きな意味を持っていました。約11.2日という短い周期で公転することから観測もしやすく、将来の望遠鏡で大気などを調べられる可能性が期待されました。
一方、「ハビタブルゾーンにある」と「生命が存在する」は同じ意味ではありません。2016年の時点でも、プロキシマ・ケンタウリの強い放射線によって大気が失われている可能性などが指摘されており、発見は生命の存在を示すものではなく、あくまで「詳しく調べる価値のある惑星」の発見でした。
2026年現在の状況
プロキシマbは現在確認されている系外惑星の一つで、生命が存在できる環境かどうかを調べる重要な観測対象となっています。ただし、10年の観測を経ても、地表に液体の水があるのか、生命が存在するのかといった決定的な証拠は得られていません。
むしろ研究が進むにつれ、単純に「地球に似た惑星」と呼ぶことの難しさが分かってきました。プロキシマ・ケンタウリから受けるX線や紫外線は地球が太陽から受けるものより強く、大気が長期間維持されるかどうかが大きな問題になります。NASAの研究では、地球と同じような大気を仮定した場合、強い放射線によって大気が失われる可能性が示されています。
一方で、2024年にもプロキシマbの大気や気候を想定した研究が続いており、次世代の大型望遠鏡で大気の特徴や生命の痕跡を探ることが検討されています。2016年の「発見」は生命の発見ではなく、10年後の現在も続く「観測の入口」だったともいえます。
地球人感覚の「ハビタブルゾーン」
「ハビタブルゾーン」とは、恒星からの距離などから、惑星の表面に液体の水が存在できる可能性がある範囲を指します。つまり「生命が住める場所」というより、正確には「地球のような水を利用する生命が存在できそうな場所」です。
プロキシマbも、この条件に当てはまる可能性があることから「地球型惑星」「生命が存在できるかもしれない惑星」として注目されました。ただし、それはあくまで地球の環境を基準にした「住める可能性」です。
もし宇宙のどこかに、メタンの海に覆われた星や、地球とは異なる環境に住む知的生命体がいたとしたら、彼らにとっての地球は、ハビタブルどころか逆に「とても住めそうにない星」かもしれません。
10年後の未来
もちろん、地球という実例がある以上、液体の水が存在できる環境を探すのは合理的ですが、地球上には人間にとっては過酷な環境に適応した生物も存在します。私たちが考える「生命が住める環境」は、地球という一つの経験から導き出した条件にすぎないのかもしれません。
それでも、「生命がいる可能性のある、水の存在する惑星を探す」と聞くと、やはりロマンがあります。地球の外にも生命が存在するかもしれない。そんな可能性を求めて、これからも人類は遠い惑星を観測し続けるでしょう。
科学者たちは、遠い星を眺めながら「水はあるか」「温度はどうか」「大気はあるか」と、人類にとっての住みやすさを一つずつ確かめています。まるで宇宙規模の物件探しです。
「駅から少し遠い」「幼稚園がないから子育てには向かない」「コンビニがないと生活は難しい」
「ハビタブルゾーン」というなじみのない言葉も、人間の住環境に置き換えて考えてみると、壮大な地球外生命探査が少しだけ身近なものに感じられます。
